『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』ジョルジュ・ペレック ― 2018-11-11
よく考えるのは苦手でもあなたはこのフローチャートを見て昇給を諦めてはいけません
『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』 ジョルジュ・ペレック (桑田 光平 訳 水声社)
11月11日
『給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法』ジョルジュ・ペレック 読了。
よく考えるのは苦手でもあなたはこのフローチャートを見て昇給を諦めてはいけません可能性は二つに一つです本屋へ行くかネットで注文するかです残念ながら密林で注文はできない上に電子書籍もありませんがウリポに手
11月11日
を出す酔狂なあなたには問題はないでしょう考え得る限りの幸運で近くの本屋に海外文学の棚がある場合ヘベペの作家を探しますがヘッセやオー・ヘンリーがあるだけですベケットはおろかジョゼフ・ヘラーすらないでしょうレジのヨランダ嬢に訊いてみても無駄でしょう可能性は二つに一つです大書店へ行くか
11月11日
この本屋で取り寄せ注文するかです事態を簡潔にするためにというのも何事も簡潔にすべきですからヨランダ嬢に給料をあげてもらうために上司に近づく技術と方法を注文しますと話しかけましょう何言ってんこいつという怪訝な顔をされるでしょう可能性は二つに一つです黙って2160円を出して促すか水声社の
11月11日
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11月11日
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『傭兵隊長』ジョルジュ・ペレック ― 2018-09-25
家人の昼寝を見守る会
『傭兵隊長』ジョルジュ・ペレック (塩塚 秀一郎 訳 水声社)
9月25日
いま読んでいる本。
『人間の由来』ダーウィン
『傭兵隊長』ペレック
『世界の行動インサイト 公共ナッジが導く政策実践』OECD
3つ目がなんか思ったほどの具体例のツッコミがないのでつらい…。でも高かったので読む。こういう宣言をすると読了できるナッジ。
9月25日
『傭兵隊長』ペレック 読了。後々の遊戯性を思えばどストレートな豪速球。やはり若書きでしょうか。『美術愛好家の陳列室』が虚実を精魂込めて混ぜ合わせた面白絵画小説なら、『傭兵隊長』は実のために虚に飛び込むと、間違いなく間違い、失敗するべくして失敗することを身を持って示した小説かな。
9月25日
だから、技巧と論理を凝らして突き詰めたあげくに瓦解してしまう失敗小説が大好物の私には大変面白かったのであります。
『精神の危機』ポール・ヴァレリー ― 2018-07-03
TwitPaneのテスト中。枕元の図
『精神の危機』ポール・ヴァレリー (恒川 邦夫 訳 岩波書店)
6月25日
なにを思ったか、ポール・ヴァレリー『精神の危機』(岩波文庫)を読んでると、100年前で「現代は知性を働かせる時間的な余裕がなくなっている」的なことをおっしゃってるので、もしかしたら、知識人は何千年もずーっと、民衆はタイプ1ばかりでタイプ2が不足していると言い続けているのかもしれない。
6月27日
で、まだ読んでるポール・ヴァレリーも、利用可能性ヒューリスティックに堕ちてはいるんだけど、フランス人のくせに、多分、ヒューリスティックスとバイアスとかプロスペクト理論とか知ったらきっと飛びついたんじゃないかと思う。行動経済学のはしりみたいなこともさらっと言ってるし。
7月3日
『精神の危機 他15篇』(岩波文庫)ポール・ヴァレリー 読了。というわけで、無知蒙昧の民衆に知性を働かせるよう教育する立場と、民衆のひとりである自分がこれまで知性を働かせて生きてきたのだから押しつけの教育は不要だとする立場のどっちにヴァレリーが立っているかという読み方も出来る。
7月3日
もちろん、教育しても無駄だという立ち位置なんですがね。
『嘔吐』J‐P・サルトル ― 2018-05-12
嘔吐ならまかせろ
『嘔吐』J‐P・サルトル(鈴木 道彦 訳 人文書院)
4月29日
いい天気なので『嘔吐』を読もう。
5月4日
サルトルの『嘔吐』でゴールデンウィークが終わりそうなぼくが言うのもなんですが、こういうのを若い衆に読ませるのは、常に最初から始める哲学のいちばんたちの悪い影響を与えそうで、ぼくが司書ならもう少し科学的(論理的)なものも同時に混ぜますね。
5月12日
『嘔吐』サルトル(鈴木道彦訳) 読了。
以前、外国文学オールタイムベスト30選んだときには入ったんだけど、なんだね、こうして20年ぶりくらいに新訳で読み返してみると、うーん、傑作だわ。まあ、他のサーさまのは大概挫折してるので、流行りの挫折本を量産してるひとだが。
5月12日
サルトルの戯曲や短編はすごいのばかりだけど(『エロストラート』でぼくは道を踏み外した)、『嘔吐』がやっぱイチオシ。独学者の変人ぶりとかアニーの変人ぶりとかロカンタンの変人ぶりとか、寒空にベンチに座ってるおじさんの変人ぶりとか、…と書いてきて、まあ、ロカンタン、友だちいないなー、
5月12日
サルトルの戯曲や短編はすごいのばかりだけど(『エロストラート』でぼくは道を踏み外した)、『嘔吐』がやっぱイチオシ。独学者の変人ぶりとかアニーの変人ぶりとかロカンタンの変人ぶりとか、寒空にベンチに座ってるおじさんの変人ぶりとか、…と書いてきて、まあ、ロカンタン、友だちいないなー、
5月12日
そこがいいところだ。ひとりならいいけどふたり作ると地獄だし。そもそも、ひとりでいても目に入る物すべてが「うるさい」と感じて、そう感じている自分の声もうるさかった若い頃はもう、これ、おれの話だと思ったもんね。いつの間にかあまり感じなくなったなあ、と思ったら、最近またぶり返して、
5月12日
これゃ、やばい病気かもとも思うが、もう、未来に投企しようにも、未来から投棄されてるし、ああ、そんなだからまたこんな精神状態なのか、とか人生の終わりにさしかかっても、グチグチ考えてしまうひとは、まあ、諦めるしかないか。
5月12日
それはともかく、若い衆は、この厨二病じみた小説みたいなものを読んで、そのまま大陸哲学にいくと、たぶん、知性の無駄遣いになるので、大陸型ではない哲学や科学思想も合わせて読んでみてくだされ。デネットとかドーキンスとか面白いから。間違っても、文章や論理展開が難解だから
5月12日
これはきっとすごい思想なのだ、などと思わないように。たんに面白がって読むならいいけど。哲学も思想も論理的な論理と反証可能性がなければたんなる宗教なのでね。けっこう人生無駄遣いしたぼくからの遺言です。
『部屋をめぐる旅』グザヴィエ・ド・メーストル ― 2017-05-18
猫氏 興味津々
『部屋をめぐる旅』(グザヴィエ・ド・メーストル 加藤一輝訳)
5月18日
シンボルスカ『魂について一言』
素晴らしい。この詩は本当に素晴らしい。
ただ、いま読んでいる『部屋をめぐる旅』(グザヴィエ・ド・メーストル/加藤一輝訳)のせいで、天然ものの阿呆を思い浮かべてしまうという交通事故。
5月18日
『部屋をめぐる旅』グザヴィエ・ド・メーストル(加藤一輝訳)読了。家人が文学フリマで買ってきたので読んだ。仏文の歴史に疎いので「18世紀を装った最近の創作なんじゃね? ドン・キホーテとかパスカルとかデカルトとかのパロディーだろ、これ」と思ったら本物のおかしな哲人作家だった…。爆笑。
7月2日
シェイクスピアはロザリー・L・コリー『シェイクスピアの生ける芸術』を読むために通読中で、80年代の評価最低の『ジョン王』が一番面白い。『ロミオとジュリエット』はやっぱり気に喰わない。『部屋をめぐる旅』は家人が文学フリーマーケットで購入して来た私家版でワンルームを旅する大傑作。
『素晴らしきソリボ』パトリック・シャモワゾー ― 2016-04-13
今日の犬(マドリードより)
『素晴らしきソリボ』パトリック・シャモワゾー(関口涼子、パトリック・オノレ 訳
河出書房新社)
4月13日
『素晴らしきソリボ』パトリック・シャモワゾー(関口凉子/パトリック・オノレ 訳)読了。
120点満点で100点の翻訳作品だあわ、だあわ、20点はどこに行った?
とけた!
溶けた解けた、ソリボの口上でござんすが、何もなくなったのかいな、否かいかな?
否!
20点の中にこそ!
応!
『HHhH ――プラハ、1942年』ローラン・ビネ ― 2015-11-15
今日のまざりあう猫
『HHhH ――プラハ、1942年』ローラン・ビネ(高橋啓 訳 東京創元社)
11月5日
『HHhH ――プラハ、1942年』ローラン・ビネを読んでいるのですが、ずっと小説から離れていたので愉しみ方を忘れて往生しております大山。これは小説ではない気がしますが、確かTwitter文学賞をとったのではなかったか。わしも老いたものよ。ふぉっふぉっふぉっふぉ。
11月12日
「ありうるということと、まぎれもない事実であることは違う。くどくどうるさいって? 僕がこういうことを言い出すと、たいてい偏執的だと思われる。みんな、何が問題なのかわかっていない。」(『HHhH――プラハ、1942年』189節)
11月15日
『HHhH――プラハ、1942年』ローラン・ビネ(高橋啓訳)読了。面白いです。実在の人物を(虚構の)役者にも(歴史の)人形にもしないように細心の注意を払った挙句、第二部では役者になっているので失敗でしょう。失敗して初めて歴史を(たぶん)前例のないリアルさで立たせた筆の冴え。
11月12日
それはそうと、訳者の高橋啓さんは『オルタンス』シリーズを訳されているのであろうか。そして出版されるのであろうか。
『マルドロールの歌』 ― 2015-11-05
ハシビロコウさんとデバ
『マルドロールの歌』ロートレアモン (前川 嘉男 訳 集英社)
9月27日
心が荒んでいるので『マルドロールの歌』を読む。
11月5日
『マルドロールの歌』第四の歌で停滞しておる。そもそも詩は苦手なのであるが、これだけは昔、夢中で読んだのであるまげどん。なぜこんなに醒めた感じになってしまうのか。わしも老いたものよ。ふぉっふぉっふぉっふぉ。
『マルドロールの歌』ロートレアモン (前川 嘉男 訳 集英社)
『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ ― 2014-11-24
年賀状用の画像を探してたらみつかった一枚。不採用だが
『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ (白井成雄 訳 作品社)
11月24日
『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ 読了。 小説じゃないことは知っていたが、ぼくの心を動かす小説とツボが同じ。後半の畳みかけるような、ユダヤ人逮捕に関する単なるお役所記録や収容所からの混乱した手紙の列記には、目を通すのも苦しい。モディアノの筆致は冷酷に近い。→
11月24日
→失われた記憶や記録を、安易な想像で埋めたくないし知りもしない人々の内面を綴りたくもない。でも、死者は話してくれなくとも、話してくれない死者がいることは忘れてはならないのではないか、などと、1940年代、1960年代、1990年代のパリの同じ場所をとぼとぼと巡るモディアノ。
11月24日
なんやら鬱陶しい感じの感想文で申し訳ない。地図はありがたいが、訳注や解説は読まなかったです。(この本文に対しては雑音に近い)
『ペスト&コレラ』パトリック・ドゥヴィル ― 2014-09-28
今日のゴブ
『ペスト&コレラ』パトリック・ドゥヴィル(辻由美 訳 みすず書房)
9月23日
その上、家人が読んでメチャクチャ面白いというので、これから読み始める「ペスト&コレラ」 パトリック・ドゥヴィル のこの装丁! これでは真面目な学術疫学調査書にしか見えないではないですか!
9月28日
「ペスト&コレラ」パトリック・ドゥヴィル 読了。パストゥール研究所の逸材でペスト菌の学名に名を残すアレクサンドル・イェルサンの伝記小説。面白いのなんの。この人、ほぼ2年で仕事に飽きて船医になり探検家になり天文学に植物学にゴム生産→ http://www.msz.co.jp/topics/07838/
9月23日
にキニーネ生産で富豪になりヴェトナムはダラットに大農園を作りペスト大流行で誰も出来なかったワクチンをサッサと作り、と落ち着きのない天才の人生をイェルサンの心情を一切語らず、なんの接触もなかったランボーやセリーヌをからめて想像させる、傑作小説。
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