『目かくし』シリ・ハストヴェット2016-05-02

家人が見ないで描いたくまモン(募金はしました)

家人が見ないで描いたくまモン(募金はしました)


『目かくし』シリ・ハストヴェット(斎藤 英治 訳 白水社)


4月29日

シリって、『めまい』も読んでないな、きっと。でも『フェルメールの受胎告知』なんてのもあった。何でもあるな、この家には。
あと、レベッカ・ブラウン『犬たち』が未読であった。


4月29日

『めまい』じゃないや『目かくし』だった。しかもサイン入り。


4月30日

シリの『目かくし』読んでるが、このウジウジ加減は好みだ。小説はウジウジしてナンボだよ。


5月2日

『目かくし』シリ・ハストヴェット 読了
ポール・オースターの夫人。リディア・デイヴィスがオースターの恋人だったつながりで積読だった本書を読んだ。

ほーら、今、ムカっとした方、あなたは正しい。作家ハストヴェットはオースターの夫人などではなく、ましてやデイヴィスと下世話な(続)


5月2日

(続)比較をされるほどヤワな作風ではないですよ。え~と、『キャンディ♥キャンディ』を書こうとしてどうしても書けずに『メッシュ』になってしまい、自分の肉体から逃避しようと格闘するゼルダ・フィッツジェラルドを思い浮かべたら、近い感じ。わかんないひとはごめんなさい。




『目かくし』シリ・ハストヴェット(斎藤 英治 訳 白水社)

『犬たち』レベッカ・ブラウン2016-05-05

おかあちゃん、まだかなー

おかあちゃん、まだかなー


『犬たち』レベッカ・ブラウン(柴田 元幸 訳 マガジンハウス)


5月4日

レベッカ・ブラウンの『犬たち』から逃避中。


5月5日

『犬たち』レベッカ・ブラウン 読了
一人暮らしのアパートに犬が現れ、呪術的な畳み掛ける文体で増え続け、囚われて…。
一話一話が短かくてもしんどい。鬱の人はやめておいた方がいいかも。食べるのも億劫で死んでいく精神状態としても読めてしまうし、あらゆる辛さの寓話として遍在してしまう。




『犬たち』レベッカ・ブラウン(柴田 元幸 訳 マガジンハウス)

『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット2016-05-14

マドリードみやげ こんなものに街中で反応するひとと友達にはなれない。

マドリードみやげ こんなものに街中で反応するひとと友達にはなれない。


『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット(上田 麻由子 訳 白水社)


4月29日

で、なんとなく、ゴールデンウィークは、今まで読み損ねて積んだままのそっち系統の作家を読もうと探したら、オースターつながりがおった。とりあえずシリ・ハストヴェット『震えのある女 私の神経の物語』。


5月8日

「赤ん坊は生まれたあと、脳の前頭前野皮質がだいたい二歳ごろと五歳ごろの二度にわたって、爆発的に成長するけれど、それは他者と関わる体験をすることによって引き起こされる。」

『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット(上田麻由子訳 白水社)


5月8日

シリ・ハストヴェットの『震えのある女』を読んでる。驚異的な勉強量。認知神経科学や精神医学の表面を猛スピードで滑走し、行き着いた先がフロイドかもしれない。自分で書いた文章を自分で読めない症状を自動筆記に結びつけるのはちょっとどうか。2009年の本だしねー。まだ半分なので後半に期待。


5月10日

シリ・ハストヴェットは、文章を読むときも書くときも必ず細部まで視覚的な映像が見えるそうな。「言葉を読んでいる、イメージなどはない」と言った詩人にびっくりしとる。(『震えのある女』p.114)


5月10日

膨大に勉強しているので変な方向にはいかないけど、なぜか認知心理学や認知言語学にはあまり踏み込まない。かなり読んでいるのは端々から伺えるので、これはもう結論に向かって、わざとやってる感じ。 あと「精神内科学」という見慣れない分野が頻出するのですが、これはいったい何かしらん。


5月14日

『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット 読了。小説(『目かくし』)の方が面白いので特におすすめはしない。自分の痙攣を調べるために膨大な勉強をし、分析哲学嫌いがフロイトにかしづきながら「曖昧な私」を非論理的に分析哲学する。文学者のこういう態度が嫌いなの。


5月10日

2009年の本ですから、もう、「私」の曖昧さを厳密に分析する時代の武器をふんだんに使って20世紀初頭に帰るのは、ナポレオンに長距離ミサイルをもたせてロシアに攻め込ませむりやり圧勝させるみたいな違和感。




『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット(上田 麻由子 訳 白水社)

『生物はなぜ誕生したのか』ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク2016-05-28

文庫川柳

文庫川柳


『生物はなぜ誕生したのか』ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク(梶山 あゆみ 訳 河出書房新社)


5月19日

カンブリア爆発なんて気の利いたふうなことを言ったのは、いま『生物はなぜ誕生したのか』(ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク)を読んでいるから。おれの知っている古生物学はもう三周くらい古いのだった。


5月25日

ウォード&カーシュヴィンク『生物はなぜ誕生したのか』には、フレアがなくても、地球では火山活動と隕石の絨毯爆撃が45〜38億年前に続いていたので、十分すぎる温室効果ガスが発生していたとはずと言うてはる。でもそんな環境ではRNAができてもすぐ壊れてしまう。生命誕生の第一歩が踏めない。


5月25日

そこに登場するのが火星。当時の火星はそこまで高温ではなく、RNAを作るのに十分な原料もまだあった(キュリオシティが裏付けてるそうな)。そして、重力が弱いので、比較的簡単に宇宙に飛び出して、地球に生命の種(RNA)を蒔いたと。


5月25日

いやー、ここ10年にも満たないくらいのドラスティックな展開ですから、地球化学や古生物学をやってるひとは楽しいでしょうなー。もう毎日が新発見みたいな。


5月28日

『生物はなぜ誕生したのか 生命の起源と進化の最新科学』ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク(梶山あゆみ訳) 読了
なんたって「新しいこと」だけに焦点を絞って、地球化学と古生物学、進化生物学を論じているので、二酸化炭素と酸素濃度中心の刺激的に満ちた偏向の一般向け紹介書。


5月28日

とは言え、面白いことにかけては右に出る類書がないくらい。惜しむらくは、恐竜が絶滅したあたりからもう著者たち興味ないらしくいきなりの投げやり感w あと、第11章が「節足動物の時代」となっているのに、ほとんど節足動物が出ない。嫌いなんだろうかw


5月28日

でも、鳥の呼吸器官の目から鱗の進化とか、大陸の移動で低酸素状態になってとか、斉一説は最近は負け組なんだなとか、生物の多様性や新奇性の発生と大絶滅のタイミングが遺伝子解析で塗り替わるとか、21世紀になっても地球の過去は熱い。(寒いときもあった)




『生物はなぜ誕生したのか』ピーター・ウォード/ジョゼフ・カーシュヴィンク(梶山 あゆみ 訳 河出書房新社)