『ユリシーズを燃やせ』 ケヴィン・バーミンガム ― 2016-11-06
開き直るゴブ
『ユリシーズを燃やせ』 ケヴィン・バーミンガム(小林 玲子 訳 柏書房)
11月2日
『ユリシーズを燃やせ』を読んでるんですが、読書会をされてる方々には、たまにはこういう文学周辺のノンフィクションを題材にされるのも面白いのでないでしょうか。ちなみにこの『…燃やせ』、『ユリシーズ』の精細な読解ありーの、当時の検閲問題ありーの、女性参政権運動ありーので論点満載ですよ。
11月2日
ユリシーズを燃やせ - (専門書/単行本/外国文学、その他/専門書/単行本/本の本/) 柏書房株式会社 http://www.kashiwashobo.co.jp/book/b239525.html…
これですわ。まだ180ページですが、もう傑作間違いなし。
11月6日
『ユリシーズを燃やせ』ケヴィン・バーミンガム 小林玲子訳 柏書房 読了! 大傑作! 次回翻訳大賞決定! 『ユリシーズ』の猥褻裁判をクライマックスにしたあらゆる関係者の本物の群像劇。映画化必至。検閲、芸術と猥褻、モダニズムに迫った書は数あれど、
11月6日
『ユリシーズ』が猥褻の概念そのものをどのように変え、法の世界に「エピファニー」をもたらしたかを、これほどの面白さで語り尽くした本があったであろうか。もしあるとすれば、それはジョイスの『ユリシーズ』そのものだけではなかろうか。
11月6日
ケビィン、すごい! 玲子さん、すごい! 柏書房、ありがとう! ジョイス、頭おかしい! ノーラ、Yes! ハリエット、マーガレット、シルヴィア、なんでそこまで! エズラ、腰が座らんぞ! ヴァージニア、アーネスト、ちょい役!
11月6日
さあ、ここからが、本番。ジョン・クイン弁護士、ありがとう! モーリス・ダランティエール、ジョイスのキチガイじみた書き直しの植字ありがとう! モリス・アーンスト弁護士そしてサム・コールマン検事、二人が揃わなければジョン・ウルジー判事にエピファニーは
11月6日
訪れなかった! ベネット・サーフにサミュエル・ロス、金儲けでも海賊版でも出版した、えらい! アンソニー・コムストックにジョン・サムナー、嫌味ではなく、猥褻であることを非道徳的だと取り締まる意味はまだ生きている、あなた達は無意味じゃない! YES!
12月24日
日本翻訳大賞の推薦作は、『ユリシーズを燃やせ』に決めているので、微力ながら強力に尽力します。眼力のある方のご協力をお願いします。
『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』アトゥール・ガワンデ ― 2016-08-10
ご冥福をお祈りいたします
『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』アトゥール・ガワンデ(原井 宏明 訳 みすず書房)
8月10日
『死すべき定め 死にゆく人に何ができるか』アトゥール・ガワンデ (原井宏明 訳) 読了。
以前読んだ『決められない患者たち』の姉妹編のような作品。外科医のガワンデがアメリカ終末期医療について200人以上に取材陣し、医師としての視点と
8月10日
ガンの父に何をすればよいのか悩む息子の視点を絡めながら、ただただ可能な治療を提案して最期の時間を苦痛だけにしてしまう医療が正しいのか、出来ることをせずに果たして後悔しないのか、誰がそれを決められるのか、疲弊した患者に判断させるのか、
8月10日
医師は何を患者に提供できるのか、情報だけなのか、患者自身が最期に何を望むのかを「問い、伝え、問う」ようにならなければ、突然の死ではなく死すべき定めを背負って長く生き続けるようになった人間への医療としては害悪にさえなるのではないか、そんな、
8月10日
重いテーマを、医学者らしいきびきびした文章で綴る。自分ももしかしたら死ぬかもしれないと思い始めたら必読。わたしは、父になぜもっと早く、食事ができるような「処置」をしてあげられなかったのかと悔やんだことを思い出した。次は正しい選択が出来るだろうか。
8月10日
重いテーマを、医学者らしいきびきびした文章で綴る。自分ももしかしたら死ぬかもしれないと思い始めたら必読。わたしは、父になぜもっと早く、食事ができるような「処置」をしてあげられなかったのかと悔やんだことを思い出した。次は正しい選択が出来るだろうか。
9月5日
『死すべき定め』はお勧めですが、【なんか楽しい】わけではないよん。
9月12日
「人生は物語としてとらえられて初めて意味あるものに感じられるのだとガワンデは考える。終末医療はまさに文学的な試みなのだ」(中村和恵・評) https://pic.twitter.com/9rwtgVGD89
本文には概ね同感なのだが、このキャッチコピーは不快。
9月5日
人生が、その物語とは関わりなく「不当に長く」続くようになった時代の現代医療について、ガワンダは考えているのだと思っている。
『数学者たちの楽園』サイモン・シン ― 2016-07-24
今日のゴブさん
『数学者たちの楽園』サイモン・シン(青木 薫 訳 新潮社)
7月22日
「数学なら紙と鉛筆と屑箱があれば出来る」
「哲学なら屑箱もいらないよ」
というやつを思い出した。
サイモン・シン『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』にも出てきますよ。
7月24日
『数学者たちの楽園 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』サイモン・シン 読了。AT&Tベル研究所からアニメ脚本家になるような「天才≒バカ」たちの「わかるやつだけわかればいい」数学ジョーク満載「ザ・シンプソンズ」を中心に、サイモン・シンのナード・ギーク魂が炸裂するお気楽お笑い本。
7月24日
数学ジョークは、『ヒトはなぜ笑うのか』(ハーレー/デネット/アダムズ)の「メンタルスペースバグ取り報酬理論」で説明がつくのかな。ユーモアというよりも「わかるやつだけ」選び出す(選ばれる)配偶者選択戦略の残滓に思えるが。そうか! だから選択公理がこんなにジョークのネタにされるのか!
『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット ― 2016-05-14
マドリードみやげ こんなものに街中で反応するひとと友達にはなれない。
『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット(上田 麻由子 訳 白水社)
4月29日
で、なんとなく、ゴールデンウィークは、今まで読み損ねて積んだままのそっち系統の作家を読もうと探したら、オースターつながりがおった。とりあえずシリ・ハストヴェット『震えのある女 私の神経の物語』。
5月8日
「赤ん坊は生まれたあと、脳の前頭前野皮質がだいたい二歳ごろと五歳ごろの二度にわたって、爆発的に成長するけれど、それは他者と関わる体験をすることによって引き起こされる。」
『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット(上田麻由子訳 白水社)
5月8日
シリ・ハストヴェットの『震えのある女』を読んでる。驚異的な勉強量。認知神経科学や精神医学の表面を猛スピードで滑走し、行き着いた先がフロイドかもしれない。自分で書いた文章を自分で読めない症状を自動筆記に結びつけるのはちょっとどうか。2009年の本だしねー。まだ半分なので後半に期待。
5月10日
シリ・ハストヴェットは、文章を読むときも書くときも必ず細部まで視覚的な映像が見えるそうな。「言葉を読んでいる、イメージなどはない」と言った詩人にびっくりしとる。(『震えのある女』p.114)
5月10日
膨大に勉強しているので変な方向にはいかないけど、なぜか認知心理学や認知言語学にはあまり踏み込まない。かなり読んでいるのは端々から伺えるので、これはもう結論に向かって、わざとやってる感じ。 あと「精神内科学」という見慣れない分野が頻出するのですが、これはいったい何かしらん。
5月14日
『震えのある女 私の神経の物語』シリ・ハストヴェット 読了。小説(『目かくし』)の方が面白いので特におすすめはしない。自分の痙攣を調べるために膨大な勉強をし、分析哲学嫌いがフロイトにかしづきながら「曖昧な私」を非論理的に分析哲学する。文学者のこういう態度が嫌いなの。
5月10日
2009年の本ですから、もう、「私」の曖昧さを厳密に分析する時代の武器をふんだんに使って20世紀初頭に帰るのは、ナポレオンに長距離ミサイルをもたせてロシアに攻め込ませむりやり圧勝させるみたいな違和感。
『ルシファー・エフェクト』フィリップ・ジンバルドー ― 2015-12-21
よんとも、各社今年のイチオシ本
『ルシファー・エフェクト』フィリップ・ジンバルドー(鬼澤忍、中山宥 訳 海と月社)
12月21日
『ルシファー・エフェクト』 フィリップ・ジンバルドー 読了。スタンフォード監獄実験の張本人が「状況とシステム」で判断力を失う悪の陳腐さを剥き出しにする。アブグレイブ収容所の虐待の告発も圧巻。ピンカー『暴力の人類史』とセットで是非。 http://www.umitotsuki.co.jp/book/b208708.hml…
12月21日
ただ、最終章「あなたが次の英雄だ」は紙数の関係だけではない危うさがつきまとう。ジンバルドー先生もチラッと懸念するように、善意で敷き詰められた地獄への道に突き進みそうで怖い。「状況とシステム」のくびきから逃れるには、理性による徹底的な迷いがなければならないのだと思うとです。
『ナチ略奪美術品を救え』バート・M・エドゼル ― 2015-12-08
掘削機のカレンダー、誰かいらんかね
『ナチ略奪美術品を救え』ロバート・M・エドゼル(高儀進 訳 白水社)
12月8日
『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』ロバート・M・エドゼル 読了。まだ上映中のジョージ・クルーニー『ミケランジェロ・プロジェクト』の原作。なんて紹介するのもどうかというくらい興奮もののノンフィクション。
12月8日
わたしのイチオシはもうなんと言って、ケイト・ブランシェット演じるところのローズ・ヴァラン@ルーブル美術館別館(ジュ・ド・ポーム)臨時管理人。フランス中の美術品がここを経由してドイツに移送されていくさなか、対独協力者の仮面を被り命をかけて、略奪品のリストを取り続けた英雄。
12月8日
あるいは「ゲントの祭壇画」など数万点が隠されていたアルトアウスゼー岩塩孔の完全な爆破を水際で防いだオーストリアのナチ党員エミリヒ・ペーヒミュラーの悲劇。 もちろん、モニュメンツ・メンたちの徹底現場主義と超人的な献身。映画の演出だと思ったら本当だと知ってウルっときた場面。面白い。
『透明の棋士』北野新太 ― 2015-08-07
暑いね
『透明の棋士』北野新太(ミシマ社)
8月7日
『透明の棋士』北野新太 読了。この北野さん、面白い文章を書く。棋界の伝統的に思い入れたっぷりの地の文に、「透明な」棋士の言葉が散りばめられて、将棋を知らないひとの方が楽しめそうだ。
『ボビーフィッシャーを探して』フレッド・ウェイツキン ― 2014-09-14
『ボビーフィッシャーを探して』フレッド・ウェイツキン(若島正 訳 みずず書房)
9月14日
スタッフによる若島先生の紹介。「詰将棋やチェス・プロブレムで輝かしい功績を持ちながら、京都大学の教授に身をやつし‥。」(会場、大爆笑) RT @misuzu_shobo 始まりました! まずは訳者若島さんと羽生名人とのチェスやボビ// https://pic.twitter.com/d4GWf9ZfUn
9月19日
「チェスが趣味」の将棋棋士・羽生善治さん、チェス日本一の小島慎也さんとチェスで対局して勝利する - ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/149/18/news166.html… @itm_nlabから
9月19日
そして、チェスの小島さんブログ。 http://shinyakojima-blog.blogspot.jp/2014/09/event-eport.html…
9月19日
そして、京都大学の教授に身をやつしている、詰将棋が本職の若島正先生。 http://kyouindb.iimc.kyoto-u.ac.jp/j/pV9nP
9月19日
そして、まんまと「ボビー・フィッシャーを探して」を読まされている私。
9月23日
「ボビー・フィッシャーを探して」フレッド・ウェイツキン 読了。私はみすず書房にひとこと言いたい!こんなに面白いのになんで表紙が柿色額縁の白黒写真でかたーいハードカバーなのでしょう。これじゃ重くて難解なみすず印と思って売れんですよ!
『あかんやつら』春日太一 ― 2014-05-05
ガボさんの肉球
『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』春日太一(文藝春秋)
5月3日
「あかんやつら」を読んでいるが、たしかに岩鬼が束になって映画を量産しております。
5月5日
「あかんやつら 東映京都撮影所血風録 」春日太一 読了。あー面白かった。まさにピークとピークをつなげて観客(読者)の興味をそらせないエンターテイメント。このノンフィクションを東映京都で映画化して欲しいのー。観たいなー。
12月18日
「金を払うから素手で殴らせてくれないか」木下古栗
「絶倫の人」デイヴィッド・ロッジ
「昼の家、夜の家」オルガ・トカルチュク
「背信の日々」フィリップ・ロス
「あかんやつら 東映京都撮影所血風録 」春日太一
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#2014年の本ベスト約10冊 その一
『ピダハン』D・L・エヴェレット ― 2013-01-18
『ピダハン』D・L・エヴェレット(屋代通子 訳 みすず書房)
1月12日
売れているということなので、失礼して図書館から借りてきた「ピダハン」をささっと読みます。
1月12日
借りた本「ピダハン」エヴェレット、「俺俺」星野智幸 、「人魚はア・カペラで歌ふ」丸谷才一、「ワトスンの選択」グラディス・ミッチェル
1月13日
「ピダハン」はいきなり妻子がマラリアで倒れて医者を求めて大変なことに。
1月14日
(いったいいつになったら「ピダハン」語の分析が始まりますか。飽きてきた。ふつうのいわゆる未開人との文化的接触じゃし)
1月16日
(「ピダハン」300ページまで来たけど、なんでこんなに「おれ チョムスキー 超えた」「ピダハン 生成文法 ない」とか叫んでるのかよく分からない)
1月17日
「ピダハン」もうすぐ終わるのだが、いまだになんでここまで「おれ チョムスキー 超えた」「ピダハン 生成文法 ない」と言い続けるのかさっぱりわからん。リカージョンが無いと無限に言い続けているのはリカージョンのパロディーですか?
1月17日
言語編の前の文化人類学ピダハンは、その倫理観の特殊さが舞城王太郎のようで、いま思えば面白かった、比較的。
1月17日
(けっきょく、なんか胡散臭いな〜ということを確認するための読書は健康によくない)
1月18日
「フィールド調査によって集めた言語資料を吟味して分類し、次にその言語に見られる要素(つまり単語や語句、文、文章のことだが、それらにどういう名前をつけるかは、その言語を論じるのに都合がいいように当のフィールド研究者が考えればいい)を抜き出し…」「ピダハン」p.353
1月18日
え? そんな恣意的なものなの? とか、もうあちこちでひっかかって。
1月18日
「…その言語に見られる要素(つまり単語や語句、文、文章のことだが、それらにどういう名前をつけるかは、その言語を論じるのに都合がいいように当のフィールド研究者が考えればいい)…」こんなこというひとに「リカージョンが無い」とか言われても、都合よく考えたんでしょ?って思うわよね。
1月18日
(俺もいい加減しつこいな)
1月18日
「ピダハン」 エヴェレット読了。Webのみんながものすごい勢いで感銘を受けていてうんざりしていたら、ここを見つけた。 http://t.co/Y2G69vmQ って、いつもお世話になっております。
1月18日
p.285から出てくる、エクソテリック(普遍的な)に対するエソテリック・コミュニケーションってので解釈するのが筋でないのかなあ。エヴェレット自身の宗教のような「直接体験の原則」よりも、内輪で閉じると言語がどう簡略化するのかの方に興味があるのだけど。
1月18日
LINEだけでコミュニケーションするように閉じ込められた女子中高生の言語からリカージョンはなくなりそうだなあ。
2月9日
わしとしてはエヴェレット「ピダハン」は、イグノーベル賞。
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