『うつの医療人類学』北中淳子2015-03-10

今日の人見知りガボ

知らない人がきてケージに逃げこむガボさん


『うつの医療人類学』北中淳子(日本評論社)


3月10日

『うつの医療人類学』北中淳子 読了
『抗うつ薬は危ない』とか『新型うつ病は病気ではない』とかそんな本があるかどうか知りませんが、うさーんくさーいのを読んだりする前に、この名著で日本のうつ病の歴史と本当の立ち位置を知っておいたらいいですよ。医療人類学ってすごい。




『うつの医療人類学』北中淳子(日本評論社)

『サマータイム、青年時代、少年時代』J.M.クッツェー2015-03-10

あ、こんなのを黒板に書いて説明したんですけど、なんなの、これ


『サマータイム、青年時代、少年時代──辺境からの三つの〈自伝〉』J.M.クッツェー(くぼたのぞみ訳 J.M.クッツェー)


1月24日

『少年時代』J.M.クッツェー 読了。少年時代の自伝であった。


2月9日

私のクッツェーは、いま22歳でIBM勤めの自称詩人。(『青年時代』)


2月11日

『青年時代』(『サマータイム、青年時代、少年時代』から)J.M.クッツェー 読了。南アフリカからイギリスに逃げだし、苦悩から美を生み出そうと、日々、芸術とセックスに励むプログラマ青年の自己欺瞞にまみれた生活。を還暦のクッツェーが冷徹に戯画化して書く嘘まみれの自伝。でいいのかな?


2月11日

ひとりクッツェー祭り実施中。もう2ヶ月ほどクッツェーしか読んでない。
『夷狄を待ちながら』
『マイケル・K』
『ダスクランド』
『敵あるいはフォー』
『鉄の時代』
『ペテルブルグの文豪(マスター)』
『少年時代』
『恥辱』
『東京総合指令室』
『動物のいのち』
『青年時代』


2月25日

『サマータイム』読んでるけど、ジュリアの語りの微妙な違和感はたぶんジュリア=クッツェーの英語に対する距離感なのかと思うが、違ったらどうしよう。


3月7日

クッツェーの『サマータイム』があと60ページほどで終わってしまう。新しい翻訳が出るのはいつであったか。みんな、クッツェー、読まず嫌いだろう。出来れば処女作の『ダスクランド』から順に読むと、作者の屈折の仕方が妙に律儀で楽しいよ。


3月8日

『サマータイム』J.M.クッツェー 読了。 ここでいつもなら好き勝手な感想をつぶやくところであるが、訳者のくぼたのぞみさんが見ているので変なことは書けない。というわけで、三月うさぎ(兄)は、今朝方、亡くなりましたので、代わって三月うさぎ(姉)がお送りいたします。


3月8日

「兄さんは、この作品をどの位読んでいましたか」
「どうかしら。二、三週間ってところかな。読むのが遅いひとでしたから。たまに、ずっと前の方を読んでたりして気味が悪かったけど。この文章はどこかで見た、とかブツブツ云いながら」


3月8日

「読んでいる時の表情などはどうでしたか」
「そんなの見てるわけないじゃない。だいたい通勤電車で読んでたんだから。ああ、でも、一度だけ大笑いしていた。真剣に読んでると思ったらバカ笑いして。あれ、どんな話なの」
「自伝です」
「コメディアンかしら」


3月8日

「コメディアンではないですが、そうだと言えなくもないです」
「あら、夕食の時間だわ。続きが聞きたいですか」
「できれば。明日はいかがですか」
「明日は兄の葬式だから、あと2時間くらいしたらまた来て」


3月8日

(沈黙)

「あら、いらしたの。なんだか顔色が悪いわね」
「いえ、すこし早まったことをしたかなと後悔していまして」
「このインタビューのことを」
「見られているので」
「見られている…。そう、兄も読みながら、言ってたわ」


3月8日

「どんなことを」
「クッチェー、でしたっけ」
「クッツェーです。ジョン・クッツェー」
「そのクが、自分を書いている自分が見える場所で書いているうちに自分が見られていることに気持ちよくなってきてどうとかって私に説明しました」


3月8日

「どうとか、のところをもう少し詳しく思い出せませんか」
「無理です。(笑) おかしくなったのかと思ったぐらいですから」

(沈黙)
「あ、こんなのを黒板に書いて説明したんですけど、なんなの、これ」 https://


3月8日

「入れ子になっている、ということですね」
「入れ子、ねえ。…クッシェーってどんな人なの。サイコパスとか」
「クッツェーです。私もあったことはないので。南アフリカ出身の小説家です」
「あのマンデラの」
「たぶん、そのマンデラの」


3月8日

「じゃあ、兄の読み方は間違ってたのね」
「なぜそう思うのですか」
「だって、バカ笑いしたりクスクス笑ったり、あげくにあの絵をかいて、自分が自分がって、そんなのあのマンデラの国の小説じゃないわ」
「そのマンデラの国の小説はどんなものだと思いますか」


3月8日

「反アパルトヘイトとか差別、残虐な感じ、傲慢さ、革命、暴力、そう、そんな作品しか浮かばないわ。そんなの笑えないはず」
「そんな感想を、兄さんは漏らしてませんでしか」
「ぜんぜん。…いえ、残虐だ、とは言ってわ。でも、父親とか作中人物に対して残虐と」


3月8日

「作中人物に残虐、ですか」
「どうだったかしら。なにしろもう数日も前のことですから記憶も怪しくて。作中人物に残虐、残虐、そう、作中人物に対して残虐だと教えてくれるのはブッチャーだけだって」
「クッツェーです」

(沈黙)

「まだ続けますか」


3月8日

「では、もうひとつだけ教えて下さい。兄さんはこの数ヶ月、クッツェー、クッツェーですよ。彼の小説だけを読んでいましたが、なぜでしょう。心当たりはありますか」
「オースターとの書簡集から読んだのは知ってるは、何か勘違いしてたようだって、読み始めたの」


3月8日

「勘違いですか」
「あとは、空っぽだとか、倫理感でいっぱいにしないと生きていけないとか、あ、これは兄自身の自己評価だったんだけど、なにかそんなのに触れるところもあったのかもね」

(沈黙)

「あなたを見捨てます。さようなら」

(沈黙)


3月8日

こんなことしなきゃよかった、と泣いて布団をかぶっています。(三月うさぎ(従兄)代筆)


4月13日

クッツェーをこれから読もうという方にひとつだけ。
『遅い男』を読む前に必ず『エリザベス・コステロ』か『動物のいのち』を読もう。
必ず後悔することになるので。)


4月13日

クッツェーはなるべく発表順に読むと吉。
『ダスクランド』
『石の女』
『夷狄を待ちながら』
『マイケル・K』
『敵あるいはフォー』
『鉄の時代』
『ペテルブルグの文豪』
『少年時代』
『恥辱』
『動物のいのち』
『青年時代』
『エリザベス・コステロ』
『遅い男』
『サマータイム』


4月13日

いますぐに手に入るのは、
『夷狄を待ちながら』『マイケル・K』『鉄の時代』『少年時代』『恥辱』『①動物のいのち』『青年時代』『②エリザベス・コステロ』『③遅い男』『サマータイム』。

①or②→③は必須。
『サマータイム、青年時代、少年時代』はまとめても読んでも良さげ。




『サマータイム、青年時代、少年時代──辺境からの三つの〈自伝〉』J.M.クッツェー(くぼたのぞみ訳 J.M.クッツェー)

『ヒトはなぜ笑うのか』マシュー・M・ハーレー他2015-03-29

フライングの一冊を八重洲BCからご恵贈賜りました。

書影


『ヒトはなぜ笑うのか』マシュー・M・ハーレー、ダニエル・C・デネット、レジナルド・B・アダムズ(片岡宏仁 訳 勁草書房)


1月6日

タイトルが少しわかりづらいですが、「ユーモア」をなんとなく印象で論じる前に読むと吉の本ですよ。(草稿を読んだけどまた読む) RT 長らく引っ張ったアレがでるらしいです。『ヒトはなぜ笑うのか』 http://www.amazon.co.jp/gp/product/432154322?ie=UTF8&camp=1207&creative=8411&creativeASIN=4326154322&linkCode=shr&tag=chikuchiku0f-2


2月3日

『ヒトはなぜ笑うのか』
マシュー・M・ハーレー、ダニエル・C・デネット、レジナルド・B・アダムズ どうしてヒトは笑うんだろう? 笑いはなんの役に立っているんだろう? この素朴な疑問に進化論や認知科学の知見から答えを出す! 勁草書房2月 http://www.keisoshobo.co.jp/news/n361.html


2月21日

フライングの一冊を八重洲BCからご恵贈賜りました。こんなに安いの? // 認知科学者ハーレー + 哲学者デネット + 心理学者アダムズの書いたナイスなユーモア研究『ヒトはなぜ笑うのか』 http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/432615422/opticalfrog-22…" https://pic.twitter.com/IcjK5qoeMA


2月21日

本文488ページ、註が上下二段で30ページ弱、参照文献25ページと、こんだけ厚くて3500円+税。びっくりしたですよ。


2月28日

『ヒトはなぜ笑うのか』を笑える本、と思うと少し違う気がするのですが。いや、笑えるのですが。でも、攻殻機動隊の笑い男か…。


2月21日

今年はこの後、『ひとはなぜ笑うのか』『合理性と自由』『心を生み出す遺伝子』『ことばをつくる』あたりを軽く読んだあと、いよいよ、レーモン・クノーを頭っから全部読んでいくのである。その後、セリーヌを頭っから全部読んでいくのである。その後、ホークスを頭っから全部読んでいくのである。…


3月11日

『ひとはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』(ハーレー&デネット&アダムズJr.)を揉み始めましたよ。


3月20日

引用:
イギリス人がアイルランドのパブに入ってきた。頭には、小さな緑のカエルをのせている。「おんやまあ」――とバーテンダー。「こいつぁおったまげた。どこでみっけたんだい?」 小さな声が答える。「これがね、はじめはちょっとしたイボだったんだが……」


3月20日

悔しいので、なぜこのジョークですぐ笑えなかったかを分析してみる。まず、飲み屋で「小さな声が答える」の表現は日本語では(耳元でささやく)親近感の表現であることが多いと(少なくともぼくには)コミットされている。しかし、最初に


3月20日

「イギリス人がアイルランドのパブに」とあることで、二人に親近感はありえないというフレームが賦活される文化圏の人には、「小さな声」は自動的に「小さなカエル」に結びつけられるんだろう。だからすぐさまイボはイギリス人の方でお馴染みのジョークになる。


3月20日

この日本語の文章が悪いわけではもちろんなく、それどころかバーテンダーの「おんやまあ」という侮蔑的な呼びかけで念押しさえしてもらっているのに、気がつけないぼくがマヌケなのであります。あー悔しい。


3月21日

何でもかんでも新奇な演出してたら、わしのメンタルスペースは保たない。
メンタルスペースという単語が便利過ぎて多用する私です。 詳しくは、『ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』をどうぞ。


3月20日

この日本語の文章が悪いわけではもちろんなく、それどころかバーテンダーの「おんやまあ」という侮蔑的な呼びかけで念押しさえしてもらっているのに、気がつけないぼくがマヌケなのであります。あー悔しい。


3月24日

いま、ダウニー・ジュニアの『シャーロック・ホームズ』観てるんですが、不敵切な信念検出がユーモアの元理論の反証を見つけたよ。ワトソン(ジュード・ロウ)がホームズの面白くないジョークに非デュシャンヌの笑いを笑っていていきなり真顔に戻る。すると観客がおかしみを感じて笑うのはなぜだろう。


3月24日

そんな謎も『ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』を読めばわかるかしら?


3月29日

『ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』ハーレー/デネット/アダムズ 読了。脳は限られた情報で短時間にほぼ正しく予測する機械なので不可避にバグが発生するけどそれを効率的に潰すために何か不一致を見つけたら「おかしみ」という報酬を与えたのがユーモアの進化心理学的側面で、(続)


3月29日

(続)じゃあ不一致なら何でも可笑しいわけじゃないのはなぜかという疑問にも、もともとの信念が意識の上に上っているようなものよりも暗黙に自明と思われているような信念が覆される、そのときに可笑しさが生じるという強さとタイミングを論じているのであるが、(続)


3月29日

人間がエネルギーを効率的に摂取するために甘党になった遺伝的戦略から逸脱して合成甘味料やチョコレートケーキを楽しむように、ジョークが様々な情動(優越感、発見、差別、性欲、等々)を利用して可笑しみを強化し精神に寄生して、人類を乗っ取っていくという警鐘を鳴らす預言の書です。


3月30日

ぜんぜん反証じゃないかな。状況を整理すると、ホームズ=ダウニーJr.はワトソン=ロウに、普通なら怒られるような侮蔑的なジョークを云うのだけど、ワトソンはホームズが悪気なくそんなジョークを云う奴だと知っていて、非デュシャンヌの笑い(つくり笑い)を笑う。そして観客は(続)


3月30日

ワトソンと同じくホームズが悪気ないことも知っているし、ワトソンがつくり笑いをしていることも知っている。で、ここでワトソンが真顔に戻っても何一つ「不一致」が覆されることはないのでは?と思ったが、よく考えるともうひとつ、ワトソンと観客で共有しているメンタルスペースがあった。(続)


3月30日

あの超人的な洞察力のホームズがワトソンのつくり笑いを見抜けないはずがない、という信念。だからワトソンも観客もホームズが「面白くない?」といった反応をすると予測しているのだが、ホームズも一緒に笑っている。(これがデュシャンヌか非デュシャンヌかは微妙にわからない名演技)(続)


3月30日

、ワトソンが突然真顔に戻ると、観客も同時に「ホームズの洞察力」という暗黙の信念が覆され、ホームズの「何?」という顔とあいまって爆笑すると。
そうなんかな。こうやって引き延ばすと、実に面白くなさそうでありますね。


5月6日

、前後関係は知らないが、10割が笑う「出来のよいジョーク」はあり得る。それは、人類の誰の意識にものぼることがないほど内面化された信念がドンピシャリのタイミングと強度で、間違いだったと示される時。
以下参照
『ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』ハーレー/デネット/アダムズ


1月7日

あ、これを忘れてた。

『ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』ハーレー/デネット/アダムズ

印象論でユーモア理論を書き散らす文学関係者はみんな必読。
この20年ほどで認知科学がどれだけ進んだかを把握せずに文学も何もないと思うのですよ。みんな円城塔になっても困るけど。


1月14日

ベルクソンの機械的なユーモア理論もフロイトの解放理論も、『ヒトはなぜ笑うのか ユーモアが存在する理由』ハーレー/デネット/アダムズ(勁草書房)で、包括的な理論の一部として取り込んでいるので、合わせて、是非。 https://twitter.com/Heibonsha_L/sttus/687273483978424320…




『ヒトはなぜ笑うのか』マシュー・M・ハーレー、ダニエル・C・デネット、レジナルド・B・アダムズ(片岡宏仁 訳 勁草書房)