『殺人者の空 山野浩一傑作選Ⅱ』2011-11-03


『殺人者の空 山野浩一傑作選Ⅱ』山野浩一 (東京創元社)


10月31日

(山野浩一作品を読んでいると、高校生の頃の鬱陶しい思考が思い出されて、とても鬱陶しい)


11月2日

(山野浩一傑作選の最大の読みどころは、著者あとがき。厭味と韜晦と自己言及のひとり芝居芸炸裂の巻)


11月3日

「殺人者の空」山野浩一傑作選 II 読了。表題作や「メシメリ街道」が、高校生のぼくと40代のおっさんのぼくの両方を『ぼくはどこからきてどこにいくのか、現実がぼくを殺すのだ』などという鬱陶しい思考に引っ張り込む力があるのは流石。白眉は「内宇宙の銀河」の丸くなる病の突き抜けた笑い。


11月3日

(このまま、山野浩一「鳥はいまどこを飛ぶか」にいくか「ブエノスアイレス食堂」にしようか迷い中)




『殺人者の空 山野浩一傑作選Ⅱ』山野浩一 (東京創元社)

『ブエノスアイレス食堂』カルロス・バルマセーダ2011-11-06


『ブエノスアイレス食堂』カルロス・バルマセーダ (柳原孝敦 訳 白水社)


11月3日

そしてけっきょく「ブエノスアイレス食堂」に落ち着き、読み始めた。傑作の予感。


11月5日

実は「ブエノスアイレス食堂」に苦戦中。ノワール・グルメって、登場人物全員の三代前からの因縁をコッテリ語ったりするもんなの? 薄いくせに情報量がばかみたいに多い。


11月5日

(「ブエノスアイレス食堂」p.67) 「過去に向かって歩き始めると、多くのイメージが、まるで最初はばらばらだったのに、ゆっくりと繋がり合って響きが良くなる音の集まりのように押し寄せてくる」


11月5日

そして概ね、苦労して読むのが苦にならない作品ほど傑作であると、ぼくは知っているのだ。「ブエノスアイレス食堂」は何回も前に戻って組み立て直すのが楽しいので、きっと傑作。


11月5日

あと、料理関係の単語がさっぱりなので調べたりしているうちにお腹が減ってくるという罠。


11月5日

なるほど、広義には同じものなんですね。p.40「南米やアジア産の種々の」がサルビアにも掛かるのならブラジル原産のものを強調したのかも? RT @unyue 【サルビア】は【セージ】とした方が親切だと思いました。「ブエノスアイレス食堂」


11月5日

と思ったけど、トウガラシとサルビアに挟まれたアンゼリカやオオグルマはヨーロッパ原産だし。セージならぼくでも聞いたことがあるしなあ。


11月6日

カルロス・バルマセーダ「ブエノスアイレス食堂」読了。原題で人肉食直結とわかるけど、最後の諸々はやり過ぎじゃない?w 口の悪い人ならマンガ的と言いそうな展開を支えているのは、ブエノスアイレス食堂に関わる人々を執拗に追いかける年代史的で主観性を排した不気味な文体。今年No.1かも?


11月6日

(いちばん近いのは「亭主調理法」だと思っていることは秘密)


11月6日

「ブエノスアイレス食堂」読み終わったら、大事なものを失ったような喪失感…。


11月18日

カニバもグルメも本質じゃないよなあ、と。なんだか分からないけど膨大な人たちの膨大な歴史が異常な文体で書かれた不気味な小説だと思うっすよ。 RT @igi_tur: 『ブエノスアイレス食堂』カニバ、カニバって聞くけど、勿論プラスα色々あるんだよね?カニバはオチじゃないんだよね?




『ブエノスアイレス食堂』カルロス・バルマセーダ (柳原孝敦 訳 白水社)

『第七階層からの眺め』ケヴィン・ブロックマイヤー2011-11-19


『第七階層からの眺め』ケヴィン・ブロックマイヤー (金子ゆき子 訳 武田ランダムハウスジャパン)


11月19日

「第七階層からの眺め」を三作目まで読んだが、これからもっと面白くなってくることを激しく希望。(つまりここまではかなり期待外れ)


11月19日

日常的問題に回収される(ように読めてしまう)話は、ライターズスクール出身っぽい感じがして嫌い。(本当にそうだったかどうかは知らんけど)


11月20日

「第七階層からの眺め」のケヴィン・ブロックマイヤーって、どっちかって云えば長編向きじゃないのかなあ、ディテールがでら面白いし。と思ってたら「終わりの街の終わり」のひとか! いま気づいたw そっちもチェックw


11月23日

「第七階層からの眺め」では、たちくらみを "頭に血がのぼる" と表現しておるが、血流の向きが逆ではないか?


11月23日

「第七階層からの眺め」ケヴィン・ブロックマイヤー読了。「思想家たちの人生」あたりでライターズスクール出身っぽい感じがして(そしてそれは当たりだったが)失敗かと思ったが、巻き返して「<アドベンチャーゲームブック>ルーブ・ゴールドバーグ・マシンである人間の魂」で逆転勝利確定。


11月23日

(続)チェーホフをスタートレックのカーク主役で書き直したりで奇想先行と思ったら、ディテールの面白さ・奇妙さ・(ベタベタしない)エモーショナルさが持ち味だった。長編はぜったい面白いと思う。(「終わりの街の終わり」を探そう)




『第七階層からの眺め』ケヴィン・ブロックマイヤー (金子ゆき子 訳 武田ランダムハウスジャパン)

『鳥はいまどこを飛ぶか』山野浩一2011-11-27


『鳥はいまどこを飛ぶか』山野浩一 (東京創元社)


11月16日

「鳥はいまどこを飛ぶのか」をチビチビ読んでるわけですが、「X電車で行こう」はすばらしい! 6ページに渡るX電車の路線だけの羅列


11月27日

「鳥はいまどこを飛ぶか」山野浩一読了。山野浩一を読みたいひとは自作解説の"唐辛子の数"に従って「カルブ爆撃隊」「虹の彼女」「霧の中の人々」で古びないNWSFに驚けですが、一押しは、日本全国の路線を見えない電車が暴走する「X電車で行こう」の疾走感。ジャンル突っ切って死屍累々だよ。




『鳥はいまどこを飛ぶか』山野浩一(東京創元社)

『チューブな形而上学』アメリー・ノートン2011-11-28


チューブな形而上学』アメリー・ノートン(横田るみ子 訳 作品社)


11月27日

「チューブな形而上学」なう。おっかしい。


11月28日

「チューブな形而上学」雨理・ノートン読了。日本で生まれて三年間(ただし2年半はチューブとして存在)の自伝。アメリーが「ママ、パパ」の次に話す言葉を何にするか悩むとこなど抱腹絶倒。/「くつ」? いや違う。くつはそれほど重要な地位にない。なぜなら、くつがなくても歩けるではないか。/


11月28日

(続) アメリーが三歳までに人生の全てを知り尽くしてしまう超絶小説。…そんでこの著者近影の超絶美人ぶりではもう人気出るのは当たり前w




『チューブな形而上学』アメリー・ノートン(横田るみ子 訳 作品社)