『パパは脳研究者』池谷裕二2018-01-03

ごはんは?

ごはんは?


『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』池谷裕二(クレヨンハウス)


1月3日

『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』池谷裕二(クレヨンハウス) 読了。子供の成長を認知面から捉えて説明しつつ、マシュマロテストにうかるような子に育てようという脳科学者ならまあやるだろうことを毎月連載報告する面白エッセイ集。


1月3日

しかし、参考文献が豊富でいいのだけど翻訳があっても原論文しか教えてくれない。誰が何を参考にするのか謎。とは言え、広瀬友紀『ちいさい言語学者の冒険』とあわせて読むと微妙にパースペクティブが違って楽しい。

こういうことをするために子どもの一個くらい造っておけばよかったか。


1月3日

爆笑した脚注。P.156
「自分でやりたがる心理的傾向は「コントラフリーローディング」と呼ばれます。脳は苦労せずに得るものよりも、労働を通じて得るものに価値を感じます。例えば、ガチャガチャを回しておもちゃを取り出すのと、同じおもちゃを単にもらうのを選択させると、…」


1月3日

「…ほぼ100%の子どもが前者を選択します。この傾向はサルやイヌはもちろん、鳥類から魚類まで、(ネコ以外の)ほぼ全ての動物に見られます。(参考文献;Tarte RD. Contrafreeloading in humans. Psychol Rep 49:859-866, 1981)。」




『パパは脳研究者 子どもを育てる脳科学』池谷裕二(クレヨンハウス)

『予期せぬ瞬間』アトゥール・ガワンデ2018-01-07

#無言でねこ写真をあげる見た人もやる

#無言でねこ写真をあげる見た人もやる


『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』アトゥール・ガワンデ (古屋 美登里、小田嶋 由美子 訳 石黒 達昌 監修 みすず書房)


1月7日

『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』アトゥール・ガワンデ 読了 凄い。
デビュー作『コード・ブルー』の復刊。
さらに、医師の意思決定に興味があれば『医師は最善を尽くしているか』を、死にゆく患者と医師の関係に揺さぶられたなら『死すべき定め』を。

https://www.msz.co.jp/book/author/16175.html


1月7日

つーわけで、ゲイリー・クライン『「洞察力」があらゆる問題を解決する』をガワンデ『予期せぬ瞬間』からの紹介で読んでる。ミスを減らす締め付けよりも見えない問題を見抜く力を伸ばす方がずっと効果的だ、という研究らしい。




『予期せぬ瞬間 医療の不完全さは乗り越えられるか』アトゥール・ガワンデ (古屋 美登里、小田嶋 由美子 訳/石黒 達昌 監修 みすず書房)

『「洞察力」があらゆる問題を解決する』ゲイリー・クライン2018-01-08

ごはんんんんん

ごはんんんんん


『「洞察力」があらゆる問題を解決する』ゲイリー・クライン(奈良 潤 訳 フォレスト出版)


1月8日

半分くらいですが、飲み屋で「コンピュータなんてのは余計な情報を省いてくれてんじゃなくて、目新しいアイデアの元を捨ててんだよ」とか「Amazonじゃ関係ない本をぱーっといっぺんに目に出来んだろ、本屋はいろんな本を見つけられるからいいんだ」とかくだ巻いてるクソジジイだ。以降流し読み。


1月8日

翻訳もひどい。文章になってないところがわんさか。さらにどうやら勝手に用語を変えているらしい。(「洞察力」を言うにことかいて「言葉の親しみやすさを求めて」「見えない問題を見抜く力」と表した、だと。ざけんな)


1月8日

『「洞察力」があらゆる問題を解決する』(原題 Seeing What Others Don't) ゲイリー・クライン 流し 読了。ヒューリスティック・バイアス理論が直観のミスを抑制するだけで洞察力やメンタルスペースを書き直すような認知行動を説明できない実験室に閉じこもってうだうだいうだけの甘っちょろい物で


1月8日

それに比べてわしの「現場主義的意思決定論」はギリギリの判断を直観に頼って行っている現場の事例をなんと120も新聞から切り抜いて集めてわしが分析したんじゃから何というてもわしが正しいのじゃ。

翻訳があまりうまくないけど時々いい話もあるハフィントンポストのダイジェストというところか。


1月10日

例のゲイリー・クラインさんの似非ハフィントンポスト本で引用しておったが、ヴァレリーか誰かが言うには「創造性とはあらゆる可能性を数え上げることではなく、要らない可能性を捨てることだ」(記憶だけの大意)だそうで、これは制約ではないのである。やまがたさんが言うような創造性はお花畑。


1月10日

囲碁はどうか知らんが、将棋はいかに要らない候補手を捨てるかが勝負なのだ。全ての可能性を数え上げて人間の1万回の人生くらいを一日で経験できる人工知能は単に持てるリソースでその勝負に勝っているだけで創造性とは何ら関係ない。制約のない創造性はくそだ。


1月10日

と、やまがたさんふうの悪口芸。




『「洞察力」があらゆる問題を解決する』ゲイリー・クライン(奈良 潤 訳 フォレスト出版)

『トマス・アクィナス』山本芳久2018-01-16

元黒ガチ、白ガチこと勝くん、市くん

元黒ガチ、白ガチこと勝くん、市くん


『トマス・アクィナス 理性と神秘』山本芳久(岩波書店)


2017年12月30日

昨日で八重洲ブックセンターで買った本

『魔法にかかった男』ブッツァーティ
『トマス・アクィナス』山本芳久
『デルフィーヌの友情』デルフィーヌ・ド・ヴィガン
『イブン・タイミーヤ政治論集』
『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー


1月16日

…そして、取り組みやすくなった一つ一つの問題の解決を積み重ねていくことによって、当初は漠然としていてどこから手を付ければいいか見えにくかったような大問題に対する解決が次第に見えてくるようになる。」

ビジネス書じゃないよ。

『トマス・アクィナス 理性と神秘』(山本芳久)p.33-34


1月16日

『トマス・アクィナス 理性と神秘』山本芳久(岩波新書) 読了。把握したいという自由意志があることこそ、理性的人間の末端にすぎない私もたしかに神の恩寵のおこぼれにあずかっている徴であり、私が常々読みたい「理性で突き詰めた挙句に破綻する物語」とは受肉に失敗した現代の物語なのであろう。


1月16日

というわけで、次は、見せびらかしという嘘と虚飾に塗れた悪徳の書『消費資本主義!』(ジェフリー・ミラー)を読んで、アクィナスの恩寵を帳消しにしてしまうのです。


1月20日

例えば、岩波新書『トマス・アクィナス 理性と神秘』(860円)と、本書(3500円)と、本書という読み易い翻訳書があるのにMillerの原書『Spent』(Kindle版で1400円)に手を出す、各々の見せびらかしの相対的価値は進化的適応としてはどんな順番になるのか。きっと本書を読めばわかることであろう。




『トマス・アクィナス 理性と神秘』山本芳久(岩波書店)

『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー2018-01-29

ブラッシングあとのゴブ

ブラッシングあとのゴブ


『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー(片岡 宏仁 訳 勁草書房)


2017年12月26日

『消費資本主義!』原書『Spent』
shorebirdさんの書評の最終行がこれ!
「一旦本書を読むと,すべての商品,すべての広告,そして政治的態度や自慢話にまで,これまで気づくことがなかった側面があることがわかり,街の風景が異なって見える.そんな破壊力のある本である」


12月30日

昨日で八重洲ブックセンターで買った本

『魔法にかかった男』ブッツァーティ
『トマス・アクィナス』山本芳久
『デルフィーヌの友情』デルフィーヌ・ド・ヴィガン
『イブン・タイミーヤ政治論集』
『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー


2018年1月16日

というわけで、次は、見せびらかしという嘘と虚飾に塗れた悪徳の書『消費資本主義!』(ジェフリー・ミラー)を読んで、アクィナスの恩寵を帳消しにしてしまうのです。


1月18日

いやー、序盤は序盤で前提編をゴシップまぜて楽しく読ませる手管で楽しいっすよ。


1月18日

ミラー先生の『消費資本主義!』ですけど、民主主義をプラトンが否定したのも、マーケティングの大衆文化をエリートが嫌うのも、根っこは同じだよー、とか。そんで「この本を読むような趣味をもってたらエリートだよ」と薄笑いを浮かべて挑発したり。語りが面白い。


1月20日

勝手に応援団。

ミラー『消費資本主義!』P.91

「本書が目指す目標の一つは、進化でつくられた人間本性がどのようにいまの市場経済に関わっているのかを明らかにして、有機的な適応と人工製品それぞれに適正な相対的価値を割り振ることができるようにすることにある」


1月20日

例えば、岩波新書『トマス・アクィナス 理性と神秘』(860円)と、本書(3500円)と、本書という読み易い翻訳書があるのにMillerの原書『Spent』(Kindle版で1400円)に手を出す、各々の見せびらかしの相対的価値は進化的適応としてはどんな順番になるのか。きっと本書を読めばわかることであろう。


1月21日

今日の応援団。

ミラー『消費資本主義!』p.146

「次のどちらのスローガンの方が、聞こえがいいだろう?――「ロレアル:あなたにふさわしい製品を」だろうか、それとも「ロレアル:あなたのカレシにちょっかいかけやがるあのスタバのくされバリスタ女より若く見せたいあなたに」だろうか?」


1月21日

…「ここまで読み進めてくれた読者なら、「生まれてこの方ずっと広告のぼんやりした美辞麗句や仲間の圧力に目をくらまされて非合理な支出習慣にはまりこんでいる適応度見せびらかし大好きな自己愛まみれの消費者」という自己像を受け入れてしまった方が、


1月21日

…本書の議論に気分よくつきあえることはお気づきだろう。言い換えると、本書を読み進めていて、不快で休まらない思いをしていたはずだ。実を言うと、科学はときどき心をきずつけるのだ。」

そしてこのあと、延々と性的なプライミング(呼び水、条件付け)の見せびらかし消費効果実験が続くの。


1月21日

ロレアルが「あなたにふさわしい製品」を提供し、あなたが自分のために自分にふさわしいロレアルを買っていると思っていると、ここら辺で本書を壁に叩きつけたくなるわよ。

科学って、ひどい。


1月21日

(応援になってない気がしてきた…)


1月22日

ミラー『消費資本主義!』

第8章に入って、しばしばツイッターでも炎上している「女性化粧品の生殖能力の誇張」を、ミラー先生は露悪的なまでにアジるので、真に知的な女性以外は本書をファウンデーションの彼方に埋めてしまうかと。以上、面白いところを販促引用できなくなり始めた現場でした。


1月23日

いちおうフォローしておくと、ミラー先生ももちろん男だって「生殖能力の誇示」をもっと盛大にやっているぞ誤読するな、とおっしゃってますのでー。


1月28日

しかしなんだ、『消費資本主義!』(ミラー)の開放性の章を読んでいると、安定性が最低のくせに開放性が高いことの危険をまざまざと感じる。せいぜいうつ病程度ですんでよく生きてこられたよ、おれ。若干、堅実性が高めなのでなんとかなってんのかな。


1月28日

「堅実性」の章を読みながら思うのは、ヒトの心理は石器時代を生きているという進化心理学の根本的な立場に、性格ビッグファイブが各々ベルカーブを描くという発見を合わせれば、ヒトは環境に合わせて性格が変わるようにゲノムを進化させて今に至るということなわけで、遺伝か環境かではなく、


1月28日

個々人の性格は男女や民族などの違いによる生活環境に合わせて形成できるような進化を遂げたわけだと思う。例えば臆病で獲物を捕れないライオンは生きられないが、臆病なヒトの男が有利に生きられる民族的な環境があればヒトの男は代々臆病な性格を生き残らせていくはず。なんて堅実なゲノム生物。


1月28日

だから、これに対しての反証可能性は、ライオンの堅実性や開放性が連続的なスペクトラムを描くか、それともほぼ同程度で固定されているかを測ればいい。怖いけど。


1月28日

性格は「空白の石版(ブランクスレート)で環境による形成がほとんどだ」という主張はまさにそのとおり。ただ、その環境の変化はゲノムの進化よりも圧倒的に早く、これに合わせて生き残る可能性を高めるには「環境に合わせて性格スペクトラムを調整できるツマミ」が石版にゲノムで書かれのだと思う。


1月28日

というわけで、そのツマミを調節して最も繁殖可能性や生存確率をあげるのが「見せびらかし」能力なわけなんだけど、ミラー先生の目にはこの消費資本主義社会はマーケティングに踊らされ自分が何を見せびらかし、どこにツマミをチューニングしているのかわからなくなっていると映るようで。


1月28日

第15章「魂の遠心分離」では、自分は消費自己愛まみれだと認識しツマミを自らの手に取り戻そうじゃないかと訴えるのだ。買うのを三年待ったり、借りたり、古着を着たり、ほしいものリストに入れて贈り物を期待したり。……なぜだ! なぜいきなりそんなにセコくなるんだ! ミラーせんせー!


1月29日

『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー(片岡宏仁訳) 読了。やっぱり面白いですわ。16、17章の強引な主張も批判的に読めばちょっと面白いことがいろいろ思いつけますし、ちょっと思いついたことを喜々としてツイートするような私とアイデア豊富なミラー先生を並べるのもなんですが親近感を感じますw


1月28日

『消費資本主義!』の訳者片岡さんのあとがきはこちらでたちよみできます。

http://keisobiblio.com/2018/01/17/atogakitachiyomi_shohishihonshugi/


1月30日

日本翻訳大賞 推薦文その二

『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー 片岡宏仁訳

少し引用します。


1月30日

『次のどちらのスローガンの方が、聞こえがいいだろう?――「ロレアル:あなたにふさわしい製品を」だろうか、それとも「ロレアル:あなたのカレシにちょっかいかけやがるあのスタバのくされバリスタ女より若く見せたいあなたに」だろうか?


1月30日

本書の議論に気分よくつきあえることはお気づきだろう。言い換えると、本書を読み進めていて、不快で休まらない思いをしていたはずだ。実を言うと、科学はときどき心をきずつけるのだ。』


1月30日

『次のどちらのスローガンの方が、聞こえがいいだろう?――「ロレアル:あなたにふさわしい製品を」だろうか、それとも「ロレアル:あなたのカレシにちょっかいかけやがるあのスタバのくされバリスタ女より若く見せたいあなたに」だろうか?


1月30日

本書は、進化心理学の視点からこの100年にも満たない消費資本主義の本質は繁殖相手への自分の知性と性格の見せびらかしなのだと説明する大興奮の内容を、こんな破格の翻訳で楽しませてしまうスリリングな学術書なのです。


2月12日

日本の強いマーケティングを求める貴方に『消費資本主義!』(ジェフリー・ミラー)。
ブランド力とは本当にデザインの洗練や機能の信頼性、逆に手間のかかる趣味を売っているのか? いや! 消費者は性淘汰による知性と性格の見せびらかしを買っている! ここに戻れば日本のブランド、カムバック!


2月12日

そんな新作マナーにお困りの皆さんに『消費資本主義!』(ジェフリー・ミラー)。

マナーを守るインセンティブには同調性や外交性を見せびらかして繁殖価を高くする性淘汰が? 関係ない爺婆はマナーなど守る必要はないと認識すればもっと暮らしやすい世の中がやってくる!(なんにでも使えるな)




『消費資本主義!』ジェフリー・ミラー(片岡 宏仁 訳 勁草書房)