『尺には尺を』シェイクスピア ― 2017-12-03
おはようございます
『尺には尺を』シェイクスピア(小田島 雄志 訳 白水社)
12月3日
『尺には尺を』シェイクスピア 小田島雄志訳 読了。ごめんなさい。尺の意味をずっと取り違えていました。いや、内容があれでしょ。初読は思春期の男の子でしたから、もう。あー、なかなか現代的な倫理を先取りした深い物語ですな。おほん。公爵がいったい何をしたいのか全く分からんのは昔と同じ感想。
11月29日
やっぱし主語はあった方がいいよね。
『現代世界における意思決定と合理性』キース・E・スタノヴィッチ ― 2017-12-12
台湾の匂いがするぞー
『現代世界における意思決定と合理性』キース・E・スタノヴィッチ(木島 泰三訳 太田出版)
12月3日
スタノヴィッチ『現代世界における意思決定と合理性』を読むと何ができるのかと家人に訊かれたので、「そろそろお湯を若島津、なかなかお湯が若乃花」というオヤジギャグが瞬時に言えるようになると説明した
12月3日
なんの関係もありません。
12月3日
それはともかく『現代世界の若乃花』、脚注(訳注)が多すぎない? 前に訳注しましたっていう訳注はいらんし、「哲学101」に「大学の哲学入門講座」と割注を入れながらさらに脚注で3行に渡り101は初心者向けの番号と云々と関係ないトリビアつけるのは、本文の論理展開を忘れちゃうので迷惑。
12月3日
「飛躍的に向上し」ても日本語の独自性は日本人の頭脳でなきゃ理解出来ない、ということであろうか。
12月3日
「日本人の頭脳」の日本語の掛かり受けや主語の統語解析手法を機械が再現出来るようになることを「飛躍的に向上」するというんだと思うですよね。
12月3日
たぶん相当遠い未来の、少なくとも10年以上は先のことだと思いますが。
12月6日
意思決定の心理学者(リバタリアン・パターナリズムの方々)なら、きっと、原点が「何もしない」のままだと、代金を払うという「損失」の方が慣れないオペラを観劇するという「利得」より常に大きく見えるので値段を下げてもあまり効果がない、同じことでも宣伝の仕方を変えるといいと言いそう。
12月3日
たぶん相当遠い未来の、少なくとも10年以上は先のことだと思いますが。
12月12日
『現代世界における意思決定と合理性』キース・E・スタノヴィッチ 木島泰三訳 読了。一家に一冊の常備薬。心理学科の学生用教科書シリーズだそうで、まず「ヒューリスティックスとバイアス研究」の紹介が滅法うまい。ここらはカーネマン『ファスト&スロー』よりも余計な語りがなくて、
12月12日
タクシー問題に毎回間違う私でもスラスラ読めてベイズの定理もなんとなく分かった。が、この本の本領はここから。進化心理学が「ヒトのバイアスによる系統的に不合理な選択は、論理的には不合理でも進化としては適応的なんだよーん」と言い始めたのに対し、
12月12日
「そらお前、ほとんどはそうだよ。でもそのヒューリスティックには、パソコンに保証延長を付けたらいいかなんて入っとらんだろ」と反論。これだけだと言いがかりに聞こえるかもしれんが、本書のタイトル「現代世界における」とはそういう意味。意図的なバイアスを利用した悪意のマーケティングに
12月3日
振り回され、ミームに汚染されて個人的選択が失われていく現代世界の合理的意思決定とは何なのか? 認知的な錯誤を改善しなくてもいいのか? そして章はファストな「タイプ1」とスローな「タイプ2」の二重過程理論、
12月12日
で、副作用も少し。まず、脚注がかなりうるさい。あとがきで編集の方の指示のもと書いたそうだが、ほんの数ページ前の脚注に出てきた言葉に脚注があり、見ると何ページの脚注を見よと書いてあったり、著者の『心は遺伝子の論理で決まるのか』の何ページにも簡単に(詳細に(同じことが))書いてある、
12月12日
さらには、合理性そのものの合理を反省する高階の自己修正(メタ合理性)と進み、進化的適応にすらヒトは改善が可能なのだと著者スタノヴィッチは厳しくも励ますのだ!
12月12日
と書いてあったりする。尋常ではない量で。こういうのは普通、巻末の索引で十分だし、註釈が本文とほとんど同じことを繰り返しているだけのものも多く、割註で言葉を足して分かりやすくしてあるのだからやり過ぎ。本文の論理を追うのがぶつ切れになって困る。
12月12日
いや、熱意が凄いので怒りませんが、少し多すぎ。
あと、スタノヴィッチさん、改善主義者の本性を、275ページ「…音楽や映画は低俗さの度合いをますます強め…」で晒しちゃだめよ。教条的なおっさんに見える。
12月12日
で、根本的に疑問なのは、タイプ2やメタ合理性がまるで進化的適応で「ない」かのような書き方をしてあること。タイプ1の石器時代からヒトがほとんど進化していないならタイプ2も高階自己修正も当時からあったはず。進化心理学はきっとその辺なんか言ってんだろうと思うがよく知らないので出直します。
12月12日
おしまい。おすすめよ。
『ウールフ、黒い湖』ヘラ・S・ハーセ ― 2017-12-30
着いた
『ウールフ、黒い湖』ヘラ・S・ハーセ(國森 由美子 訳 作品社)
12月30日
買うつもりのなかった『ウールフ、黒い湖』(ヘラ・S・ハーセ)を購入。翻訳者の國森由美子さんはオランダ語の翻訳者だ。オランダ文学の翻訳なんだから当たり前と思うかもしれんが、毎度ノーベル文学賞候補と噂されるセース・ノーテボームは、英語かドイツ語からの重訳しか存在しない。なのだ。
といったことが、昨日のよんとも外文リーガーイベントで質問されていたので、思い出したのであった。
12月30日
そんなにノーテボームが読みたかったらオランダ語を勉強すればいいのに。すいません。
12月30日
今日、八重洲ブックセンターで買った本
『ウールフ、黒い湖』ヘラ・S・ハーセ
『貧困と飢饉』アマルティア・セン
『誰がスティーブィ・クライを造ったのか』マイクル・ビショップ
2017年の本ベスト約10冊 ― 2017-12-31
ゴブさんの大晦日
2017年の本ベスト約10冊
12月31日
#2017年の本ベスト約10冊 その一
『台湾海峡一九四九』龍鷹台
『イエスの幼子時代』J.M.クッツェー
『ノストローモ』コンラッド
『部屋をめぐる旅』グザヴィエ・ド・メーストル
『図書館の魔女 烏の伝言(つてこと)』高田大介
図書館の魔女、続きはどうなったのか…。
12月31日
#2017年の本ベスト約10冊 その二
『T島事件〜絶海の孤島でなぜ六人は死亡したのか〜』詠坂雄二
『歌うカタツムリ 進化とらせんの物語』千葉聡
『The video game with no name』赤野工作
この三作は巷の評価が低すぎると思う。
12月31日
#2017年の本ベスト約10冊 そのさん
『コスタグアナ秘史』フアン・ガブリエル・バスケス
『現代世界における意思決定と合理性』キース・E・スタノヴィッチ
次点『大相撲殺人事件』小森健太朗
バスケスは『密告者』『物が落ちる音』も入れたい。
今年は面白いものをたくさん読めた気がする。
『密告者』フアン・ガブリエル・バスケス ― 2017-12-31
ついでに密告者(バスケス)
『密告者』フアン・ガブリエル・バスケス(服部綾乃・石川隆介 訳 作品社)
2014年12月22日
私としては、来年、作品社と松籟社で、フアン・ガブリエル・バスケスが出るらしいのが朗報。
『密告者』
『物体の落下する音』
待ってたの。
2017年7月19日
延びるって情報がありやすぜ。(by 密告者)
9月30日
もう誕生日プレゼントの図書カードがなくなってきたのですが、『メタヒストリー』と『密告者』のどっちを優先したらよいでしょうか。
10月8日
ついでに密告者(バスケス)。
12月23日
密告者、253ページ、""?
12月30日
まあ、こんな風にだらだらツイッターしてんのは、あと少しでバスケス『密告者』が終わってしまうからなのである。ほんとにそうなのか?
12月30日
『密告者』フアン・ガブリエル・バスケス 服部綾乃・石川隆介訳 読了。これが30歳そこそこで書かれたんだから、まあ、『コスタグアナ秘史』や『物が落ちる音』が絶倒の傑作で当たり前だった。平易な文章でもサケサクは読み進められない視点人物のマトリョーシカ状態。すごいなこれ。
12月31日
#2017年の本ベスト約10冊 そのさん
『コスタグアナ秘史』フアン・ガブリエル・バスケス
『現代世界における意思決定と合理性』キース・E・スタノヴィッチ
次点『大相撲殺人事件』小森健太朗
バスケスは『密告者』『物が落ちる音』も入れたい。
今年は面白いものをたくさん読めた気がする。
1月15日
CRIOLLISIMO: 僕ならメキシコ市の書店ガンディーを選ぶ https://criollisimo-cafecriollo.blogspot.com/2018/01/blog-post_15.html?spref=tw…
バスケス『密告者』のちょっと驚いた話。
間接話法を直接話法に変えたり改行を入れたり手を入れている模様。私が思ったのは役割語の是非。翻訳大賞に推して、翻訳のあり方を議論する恰好の作品ではないか。
2018年1月30日
日本翻訳大賞 推薦文その一
『密告者』フアン・ガブリエル・バスケス 服部綾乃・石川隆介訳
これを30歳そこそこで書いたんだから、『コスタグアナ秘史』や『物が落ちる音』が絶倒の傑作で当たり前だった。平易な文章でもサクサクは読み進められない視点人物のマトリョーシカ状態。
と思いきや。
1月30日
『密告者』の翻訳では、間接話法を直接話法に変えたり改行を入れたり、かなり手を加えているそう。また、私が読みながら思ったのは、執拗に繰り返される役割語の是非。翻訳大賞に推して、小説の翻訳のあり方を議論する恰好の作品ではないでしょうか。
ものすごく面白く読んだ私はもちろん「是」です。
4月19日
帯裏のザラのセリフのように誰もが密告者になり得るという意味と、補遺の頭でザラも密告者と言ってる「俺」自身が密告者を『密告者』で密告し、うがって見れば補遺でバスケスも周囲の現実(ハンスとリリーの書店など)を密告してるわけで、複数形なんだろうなと、いま思いましたw
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