『内面からの報告書』ポール・オースター2019-01-08

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『内面からの報告書』ポール・オースター (柴田 元幸 訳 新潮社)


1月6日

あ、昨日からオースター『内面の報告書』の続きを読み始めたので、5日くらいでした。ブルブル震えるような離脱はなくどんどん気分が落ちる程度。読んだから上がるわけではないですが。


1月8日

『内面の報告書』オースター 読了

四部構成ですが、白眉は少年時代に観た映画『縮みゆく人間』と『仮面の米国』を、読者の目に少年ポールと老年期オースターと並んで観ているように語り直す名人芸の第二部。これだけでも読んでみてくだされ。


1月8日

リディア・デイヴィスに宛てた若き日の手紙から忘れていた自分を解読する第三部は、まあ、オースターならこうするよなという、いい意味でも非-いい意味でもオースターらしい処理。最後の手紙はオレがリディアなら、即絶交だが。




『内面からの報告書』ポール・オースター (柴田 元幸 訳 新潮社)

『冬の日誌』ポール・オースター2018-12-27

アルゼンチンみやげ

アルゼンチンみやげ


『冬の日誌』ポール・オースター(柴田 元幸 訳 新潮社)


12月20日

オースターの『冬の日誌』を、ベルンハルトに続けて読むこと。底抜けに明るい解毒剤。


12月20日

「物心ついてからずっと、君は進んで恋愛の奴隷であり続けてきた。(…)そしていまもやっぱり恋の虜だ。」

それはよござんした。


12月27日

『冬の日誌』ポール・オースター 読了。よい。(おやすみなさい)


12月27日

どこがいい、と言われても難しいんだけど、とにかく現在70がらみの都会育ち中産階級出のアメリカ人男性にいかにも刻まれていそうな肉体的記憶が、薄っぺらい饒舌と詩的な華やかさと頑固で短気なエピソードとが巧妙に重なり合って、ああ、歳をとるとはこういうことかと思う、


6月27日

か! なんじゃわりゃ、60過ぎてシリとイチャイチャしてんじゃねーよ! などとも思う、実に無防備な自伝なのでした。




『冬の日誌』ポール・オースター(柴田 元幸 訳 新潮社)

『スピードボート』レナータ・アドラー2017-02-18

むりやりゴブさん

むりやりゴブさん


『スピードボート』レナータ・アドラー(高見 安規子 訳 講談社)


2月13日

『実験する小説たち』→家人→レナータ・アドラー『スピードボート』→おれ、という流れで読んでますが、以下で連投する一節ほど「政治的であること」を鮮やかに表現した文章を私は知らない。(私が知らないだけですが)


2月18日

『スピードボート』レナータ・アドラー 読了。皮肉なくすぐりのスケッチ集。古びることを恐れないことが最大の実験か。説明の端折り方は同時代のアメリカ「だけ」が共有していることを前提にしている。少しだけ「文学」に色目を使った連載コラム風。(面白いよ)


2月20日

そういや、こないだ読んだ『スピードボート』に、一行目を左から右へタイプした後、二行目を右から左へ打ちながら移動する、という最新式のタイプライターの描写があった。こうやって手でレバーを戻してやる必要がないということですなー。70年代初めのアメリカの話。)




『スピードボート』レナータ・アドラー(高見 安規子 訳 講談社)

『オルフェオ』リチャード・パワーズ2016-06-12

棺桶と桶の獣たち

棺桶と桶の獣たち


『オルフェオ』リチャード・パワーズ(木原 善彦 訳 新潮社)


5月29日

パワーズ『オルフェオ』を、『ジュピター』聴きながらーの『亡き子をしのぶ歌』を二周も回しながらーので46ページまで読んでみたが、とくに音楽そのものとはリンクしないように思うがどうか。どうしてもおっぱい揉みたいのか。


5月29日

で、『オルフェオ』は小説として読むことにします。というわけで、これだけは先に聴いておいた方がよいというクラシックのタイトルを教えていただけたらありがたいのですが。


6月11日

『オルフェオ』、オレ史上最低のパワーズなのであと180ページがつらい。


6月11日

やまがたふうにくさしたくなるひどさ。


6月11日

あるとは思うが、ピーターの不徹底な態度は、ストーナーとは雲泥じゃん。あと、音楽用語並べて音楽を表現するのもここまで繰り返されると胃酸過多。まあ、まだ120ページあるから。


6月12日

『オルフェオ』パワーズ まだ100ページあるが。腰の座らない3つの視点。音楽はそれ自体である、音楽は別の何かを指し示す、言葉で音楽を再現する。エルズ≒パワーズの不徹底な態度。長大な歴史を収めた『バロック協奏曲』の現代音楽版は、無数の微小な細胞の中に不協和音を閉じ込めて出てこない。


6月12日

そもそもパワーズの本領は家族小説にあるってことを自分で分かってんのかな。


6月12日

『オルフェオ』パワーズ 読了。ああ、出てきた出てきた。しかしエルズは「芸術の極北」(訳者解説)なんか端から目指してなかろう。とにかく、邦訳されているもので音楽をテーマにしているパワーズなら『われらが歌う時』一点買い。


2018年10月13日

パワーズの『オルフェオ』でもキッチンで音楽微生物創ってましたなー。記憶を掘り返して昔の感想読み直したが、ひどいディスり方してたw




『オルフェオ』リチャード・パワーズ(木原 善彦 訳 新潮社)

『犬たち』レベッカ・ブラウン2016-05-05

おかあちゃん、まだかなー

おかあちゃん、まだかなー


『犬たち』レベッカ・ブラウン(柴田 元幸 訳 マガジンハウス)


5月4日

レベッカ・ブラウンの『犬たち』から逃避中。


5月5日

『犬たち』レベッカ・ブラウン 読了
一人暮らしのアパートに犬が現れ、呪術的な畳み掛ける文体で増え続け、囚われて…。
一話一話が短かくてもしんどい。鬱の人はやめておいた方がいいかも。食べるのも億劫で死んでいく精神状態としても読めてしまうし、あらゆる辛さの寓話として遍在してしまう。




『犬たち』レベッカ・ブラウン(柴田 元幸 訳 マガジンハウス)

『目かくし』シリ・ハストヴェット2016-05-02

家人が見ないで描いたくまモン(募金はしました)

家人が見ないで描いたくまモン(募金はしました)


『目かくし』シリ・ハストヴェット(斎藤 英治 訳 白水社)


4月29日

シリって、『めまい』も読んでないな、きっと。でも『フェルメールの受胎告知』なんてのもあった。何でもあるな、この家には。
あと、レベッカ・ブラウン『犬たち』が未読であった。


4月29日

『めまい』じゃないや『目かくし』だった。しかもサイン入り。


4月30日

シリの『目かくし』読んでるが、このウジウジ加減は好みだ。小説はウジウジしてナンボだよ。


5月2日

『目かくし』シリ・ハストヴェット 読了
ポール・オースターの夫人。リディア・デイヴィスがオースターの恋人だったつながりで積読だった本書を読んだ。

ほーら、今、ムカっとした方、あなたは正しい。作家ハストヴェットはオースターの夫人などではなく、ましてやデイヴィスと下世話な(続)


5月2日

(続)比較をされるほどヤワな作風ではないですよ。え~と、『キャンディ♥キャンディ』を書こうとしてどうしても書けずに『メッシュ』になってしまい、自分の肉体から逃避しようと格闘するゼルダ・フィッツジェラルドを思い浮かべたら、近い感じ。わかんないひとはごめんなさい。




『目かくし』シリ・ハストヴェット(斎藤 英治 訳 白水社)

『サミュエル・ジョンソンが怒っている』リディア・デイヴィス2016-04-29

13時間ぶりにメシを喰う獣たち。


『サミュエル・ジョンソンが怒っている』リディア・デイヴィス(岸本佐知子 訳 作品社)


4月29日

『サミュエル・ジョンソンが怒っている』リディア・デイヴィス(岸本佐知子訳)読了。『ほとんど記憶のない女』では短いやつにやられたが、こっちは長めのやつもいい。『北の国で』『ボイラー』『甲状腺日記』『マリー・キュリー、すばらしく名誉ある女性』、老いや死や病の奇妙な表現が堪える。




『サミュエル・ジョンソンが怒っている』リディア・デイヴィス(岸本佐知子 訳 作品社)

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ2014-11-29

11月24日のガボさん。りんごのカバーをかぶせてみた

今日のガボさん。リンゴのカバーをつけてみた


『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ (東江一紀 訳 作品社)


2013年12月3日

まず「Stone」がどんな作品か紹介しろや。トム・ハンクスが出てきてもさっぱり。 RT @ReutersJpEnt 英「今年の本」は50年前に絶版の小説、翻訳版で一躍ベストセラーに http://bit.ly/IHOEg6


2014年11月18日

節度をもって本の買い溜めに行った結果、以下のものを買いましたのでご報告申し上げます。(さっきのツイートと矛盾してる気もするけど) 『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ 『心を生みだす遺伝子』ゲアリー・マーカス あれ、作品社が2冊。


11月25日

『ストーナー』(ジョン・ウィリアムズ)を読み始めたわけですが、ダメでしょう、これ。もうね、泣くよ、泣きますよ? どばどば泣きますよ? 拷問ですよ?


11月28日

「ストーナー」が痛々しくて、古栗の「股間の大転換」に一時避難したあと、「野獣死すべし」をCSで観て、「そう、これで終わりって酒だ。カチッ。あ、あ、は、は、あんた運がいい」と家人に何度も繰り返して「うるさい!」と怒られたので寝ます。


11月28日

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 読書中。もうね、心が痛くて、私、もう、もう。静謐なとか、純粋なとか、そんなクリシェで表現できないよ。モノの形のデッサンを光と影でざっくり始めるのが正統派なら、『ストーナー』は最初から細い線で細密に象っていくのですよ。


11月29日

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ (東江一紀 訳 作品社)読了
もうオールタイムベストでいいです。死んだら、これを棺に入れてください。ちょっといま感想文が書けないくらいアレなので、後ほど。


11月29日

『ストーナー』の主人公ウィリアム・ストーナーは、普通の人間で、普通の人生を送り、
いや、いや、違う。


11月29日

『ストーナー』の惹句にある、美しい、悲しみ、純粋、感動、どれも嘘ではないが当たってもいない。人の一生を、 美しい、悲しみ、純粋、感動、などで飾ってもその人の一生には到底及ばないのと同じで

いや、そうじゃなくて。


11月29日

そもそも、ストーナーはダメな男です。貧乏な農家の長男で農学部として大学にやってもらったのに、必修の英文学概論の講義で教師がシェイクスピアのソネットを朗読し「ストーナー君、このソネットは何を意味するのだろう?」という問いかけられただけで、親を捨てた人非人です。

ちがう。


11月29日

文学的な手法でいうと、『ストーナー』はリアリズム小説と思われるでしょうが、現実を映し出した小説ではなくて、一個の現実で、家族も大学の同僚も生きてる人間で

ちがう。ちがう。


11月29日

文章はこれ以上ないほど平易。感情の爆発もドラマチックな展開もほとんどない。必要十分なことが全て書いてあるが、書いてあることだけ読む人には物語の面白さは伝わらない。でも、ストーナーの問いに一生かけて答える覚悟が、ぼくにあるかと言えば、多分ない。

そんな傑作です。


11月29日

すいません。あとはもっと旨い書評を読むか、もっと手っ取り早いのは『ストーナー』そのものを読むかして下さい。


11月29日

ひとつ書き忘れ。訳者の東江一紀さんは今年の6月に亡くなっており、この『ストーナー』が遺作。その経緯を、弟子にあたる布施由紀子さんがあとがきとして書かれており、これが本作と木霊してひとつの作品になっているのです。あとがきは最後に必ず読むことをお薦め。


11月29日

そんなに単純な小説じゃない。 RT @yodamina 書評:ストーナー [著]ジョン・ウィリアムズ | http://BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト http://book.asahi.com/reviews/reviewr/2014111600008.html… #bookasa @BOOK_asahi_comさんから


11月29日

もしやろうと思えば、小説内で論じられる小説と文法の関係や、登場人物の内面を描く視点、文学の存在理由、などなど物凄いテクニカルな作品なのよ。ロスの『背信の日々』あたりをも上回るよ。(ロス作品と比較するのは面白そう)


11月29日

なんだか日本語がおかしいのは興奮してるからなのよ。


12月11日

ああ、そう言えば、翻訳小説の初心者向けは何かって話題がありましたな。私は、 『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ(作品社)を強力に推薦。日本語が読めさえすれば、超初心者から小うるさい原理主義者まで、あらゆるレベルの読み方が可能。エモだと思って読まず嫌いは大損だと思います。


12月18日

「言葉をおぼえるしくみ 母語から外国語まで」今井むつみ・針生悦子
「言語における意味 意味論と語用論」アラン・クルーズ
「ナウ・ローディング」詠坂雄二
「駄作」ジェシー・ケラーマン
「ストーナー」ジョン・ウィリアムズ

#2014年の本ベスト約10冊 その二


2015年1月31日

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ(作品社) ジョン・ウィリアムズがもし『ローマックス』を書いたなら、ローマックスの最期もきっと幸福であったはずだ。 #wtb5


3月1日

『ストーナー』をdisったかに聞こえるトヨザキ社長の「黒ストーナー」発言。あれがぼくも言いたかったことなのよ。ただただ「美しい」「純粋」といった読み方は半分で、敵役の妻や同僚を主人公にジョン・ウィリアムズが書いていればきっと美しく幸福な人生になっていたはずの多層的な作品なのです。


4月13日

著しく支持しましたー! RT @nihonhonyakut また読者の著しい支持を受けた翻訳として「ストーナー」東江一紀訳(作品社)が読者賞に決まりました。https://besttranslationaward.wordpress.com/ #日本翻訳大賞




『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ (東江一紀 訳 作品社)

『プロット・アゲンスト・アメリカ』フィリップ・ロス2014-11-06

枕元の本を晒してみる

枕元の本を晒してみる


『プロット・アゲンスト・アメリカ』フィリップ・ロス(柴田元幸 訳 集英社)


11月4日

「プロット・アゲンスト・アメリカ」、300ページ超えて、テーマもキャラクターもプロットも文体(翻訳)も、いままでで一番くっきりはっきり出来ているが、どうにも乗れない。このあとに期待。


11月6日

「プロット・アゲンスト・アメリカ」フィリップ・ロス 読了。ロスを読むなら、まずはこれを。1940年、実際にあり得たかもしれないリンドバーグ大統領(有名な反ユダヤ主義者)の元で、ニューアークのユダヤ人街で暮らすフィリップ・ロス一家が静かに(そして、加速度的に)壊れていく恐怖。


11月6日

視点人物は7〜9歳のフィリップで、語り手は(おそらく現在の)フィリップ。「われらのギャング」「素晴らしいアメリカ野球」などでアメリカの偽善を拡声器最大で批判してきたロスが、音を絞って絞って読者の心臓を静かに知的に握りつぶす作品を書いた。


11月6日

ザッカーマンものやケペシュものを読んで嫌気のさした方も、これはきっと評価すると思います。性的な自分探しテーマはほぼないので。




『プロット・アゲンスト・アメリカ』フィリップ・ロス(柴田元幸 訳 集英社)

『ダイング・アニマル』フィリップ・ロス2014-10-26

寒がりゴブ

寒がりゴブ


『ダイング・アニマル』フィリップ・ロス(上岡 伸雄 訳 集英社)


10月22日

「ダイング・アニマル」フィリップ・ロス 読了。表紙がこれなんだが、ほんとうに内容読んでから決めたのかね。ここは乳房、おっぱいでなきゃダメ、失格。内容は「乳房になった男」ケペシュの老後のセックス自慢。ロス、ノーベル賞辞退も同然…。


10月26日

「背信の日々」に対する「いつわり」と同じように、「ダイング・アニマル」は「ヒューマン・ステイン」の一人称形式(ストーリーも人物も違うが)という感じ。初めてロスを読むなら「素晴らしいアメリカ野球」でお願いします。


10月26日

とは言え、ロスの「American Pastoral 」が映画化。 http://eiga.com/news/20140815/1/… きっとノーベル賞当て込んで翻訳は済んでると思うので、出してくだされ。


10月26日

ついでに、「ダイング・アニマル」も映画化されていて、ペネロペ・クルスがおっぱい役に体当たりの「エレジー」。デニス・ホッパーが詩人のジョージなのか…。(観てないのでノーコメント)




『ダイング・アニマル』フィリップ・ロス(上岡 伸雄 訳 集英社)