『プロット・アゲンスト・アメリカ』フィリップ・ロス2014-11-06

枕元の本を晒してみる

枕元の本を晒してみる


『プロット・アゲンスト・アメリカ』フィリップ・ロス(柴田元幸 訳 集英社)


11月4日

「プロット・アゲンスト・アメリカ」、300ページ超えて、テーマもキャラクターもプロットも文体(翻訳)も、いままでで一番くっきりはっきり出来ているが、どうにも乗れない。このあとに期待。


11月6日

「プロット・アゲンスト・アメリカ」フィリップ・ロス 読了。ロスを読むなら、まずはこれを。1940年、実際にあり得たかもしれないリンドバーグ大統領(有名な反ユダヤ主義者)の元で、ニューアークのユダヤ人街で暮らすフィリップ・ロス一家が静かに(そして、加速度的に)壊れていく恐怖。


11月6日

視点人物は7〜9歳のフィリップで、語り手は(おそらく現在の)フィリップ。「われらのギャング」「素晴らしいアメリカ野球」などでアメリカの偽善を拡声器最大で批判してきたロスが、音を絞って絞って読者の心臓を静かに知的に握りつぶす作品を書いた。


11月6日

ザッカーマンものやケペシュものを読んで嫌気のさした方も、これはきっと評価すると思います。性的な自分探しテーマはほぼないので。




『プロット・アゲンスト・アメリカ』フィリップ・ロス(柴田元幸 訳 集英社)

『言語から認知を探る』セドリック・ブックス2014-11-13

正統派かわいい系ガボ

正統派かわいい系ガボ


『言語から認知を探る――ホモ・コンビナンスの心』セドリック・ブックス(水光雅則 訳 岩波書店)


11月13日

『言語から認知を探る――ホモ・コンビナンスの心』セドリック・ブックス 読了。割りとすんなり読めたので、ちょっとは進歩してるのでありましょうか。いい気になって気になるところを書くと、「モジュール」の大きさをどの程度に見積もっているのかよく分からない。8章あたりの言語モジュールが→


11月13日

→色々な閉鎖的な非言語認知モジュールをつなぎ合わせる的なことを仄めかして、後半の心の計算器官の話ではもはや言語はモジュールではなく小さな計算の手続きの積み重ねと言い始めるので、なんだかよくわからなくなってしまうの。などと素人さんは思うのでした。




『言語から認知を探る――ホモ・コンビナンスの心』セドリック・ブックス(水光雅則 訳 岩波書店)

『数覚とは何か!』スタニスラス・ドゥアンヌ2014-11-23


『数覚とは何か?──心が数を創り、操る仕組み』スタニスラス・ドゥアンヌ(長谷川眞理子、小林哲生 訳 早川書房)


11月16日

スタニスラス・ドゥアンヌ「数覚とは何か!――心が数を創り、操る仕組み」てのを図書館で借りて読んでます。誰も借りた形跡なし。「言語から認知を探る」でちょっとだけ出てきた参考文献のポピュラーもの。正直たるい。ピアジェ批判はもういいので先へ進んで。


11月16日

『数覚とは何か!』ではなく『数覚とは何か?』でした!


11月18日

「アメリカの子どもたちが、「にじゅうはち、にじゅうく、にじゅうじゅう、にじゅうじゅういち」などと言っているのを聞いたことはないだろうか? このような文法的誤りは、数の文法を経験的に推測するのが難しいことの印であるが、アジアの国々ではまったく見られない」『数覚とは何か?』p.191


11月18日

の数え方をしていた者です。アジア人です。


11月23日

『数覚とは何か?――心が数を創り、操る仕組み』スタニスラス・ドゥアンヌ 読了。近縁の動物含め、脳が得た独自の数感覚は、①1,2,3までの直感的な数把握 ②4以上の概数把握で全部。これらはアナログの量感覚をそのまま担保している。数の順序性などは数直線のような空間認知を流用して→


11月23日

→遺伝的な普遍性あり。でも、4以上の数を数えることや簡単な足し算引き算からあとは普遍文法のようなものはなく、脳内の細かな機能(モジュール)を訓練によって強化しながら苦労して身につける。数覚全体を統合するのは前頭前野だけどこれだって細かい→


11月23日

→モジュールの盲目的な連携であって、ホムンクルスなどいない。ギリギリこの辺までは客観的な議論。最後の章は数学の構築主義の話でウンチク語りたかったのか。




『数覚とは何か?──心が数を創り、操る仕組み』スタニスラス・ドゥアンヌ(長谷川眞理子、小林哲生 訳 早川書房)

『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ2014-11-24

年賀状用の画像を探してたらみつかった一枚。不採用だが

年賀状用の画像を探してたらみつかった一枚。不採用だが


『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ (白井成雄 訳 作品社)


11月24日

『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ 読了。 小説じゃないことは知っていたが、ぼくの心を動かす小説とツボが同じ。後半の畳みかけるような、ユダヤ人逮捕に関する単なるお役所記録や収容所からの混乱した手紙の列記には、目を通すのも苦しい。モディアノの筆致は冷酷に近い。→


11月24日

→失われた記憶や記録を、安易な想像で埋めたくないし知りもしない人々の内面を綴りたくもない。でも、死者は話してくれなくとも、話してくれない死者がいることは忘れてはならないのではないか、などと、1940年代、1960年代、1990年代のパリの同じ場所をとぼとぼと巡るモディアノ。


11月24日

なんやら鬱陶しい感じの感想文で申し訳ない。地図はありがたいが、訳注や解説は読まなかったです。(この本文に対しては雑音に近い)




『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ (白井成雄 訳 作品社)

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ2014-11-29

11月24日のガボさん。りんごのカバーをかぶせてみた

今日のガボさん。リンゴのカバーをつけてみた


『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ (東江一紀 訳 作品社)


2013年12月3日

まず「Stone」がどんな作品か紹介しろや。トム・ハンクスが出てきてもさっぱり。 RT @ReutersJpEnt 英「今年の本」は50年前に絶版の小説、翻訳版で一躍ベストセラーに http://bit.ly/IHOEg6


2014年11月18日

節度をもって本の買い溜めに行った結果、以下のものを買いましたのでご報告申し上げます。(さっきのツイートと矛盾してる気もするけど) 『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 『1941年。パリの尋ね人』パトリック・モディアノ 『心を生みだす遺伝子』ゲアリー・マーカス あれ、作品社が2冊。


11月25日

『ストーナー』(ジョン・ウィリアムズ)を読み始めたわけですが、ダメでしょう、これ。もうね、泣くよ、泣きますよ? どばどば泣きますよ? 拷問ですよ?


11月28日

「ストーナー」が痛々しくて、古栗の「股間の大転換」に一時避難したあと、「野獣死すべし」をCSで観て、「そう、これで終わりって酒だ。カチッ。あ、あ、は、は、あんた運がいい」と家人に何度も繰り返して「うるさい!」と怒られたので寝ます。


11月28日

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ 読書中。もうね、心が痛くて、私、もう、もう。静謐なとか、純粋なとか、そんなクリシェで表現できないよ。モノの形のデッサンを光と影でざっくり始めるのが正統派なら、『ストーナー』は最初から細い線で細密に象っていくのですよ。


11月29日

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ (東江一紀 訳 作品社)読了
もうオールタイムベストでいいです。死んだら、これを棺に入れてください。ちょっといま感想文が書けないくらいアレなので、後ほど。


11月29日

『ストーナー』の主人公ウィリアム・ストーナーは、普通の人間で、普通の人生を送り、
いや、いや、違う。


11月29日

『ストーナー』の惹句にある、美しい、悲しみ、純粋、感動、どれも嘘ではないが当たってもいない。人の一生を、 美しい、悲しみ、純粋、感動、などで飾ってもその人の一生には到底及ばないのと同じで

いや、そうじゃなくて。


11月29日

そもそも、ストーナーはダメな男です。貧乏な農家の長男で農学部として大学にやってもらったのに、必修の英文学概論の講義で教師がシェイクスピアのソネットを朗読し「ストーナー君、このソネットは何を意味するのだろう?」という問いかけられただけで、親を捨てた人非人です。

ちがう。


11月29日

文学的な手法でいうと、『ストーナー』はリアリズム小説と思われるでしょうが、現実を映し出した小説ではなくて、一個の現実で、家族も大学の同僚も生きてる人間で

ちがう。ちがう。


11月29日

文章はこれ以上ないほど平易。感情の爆発もドラマチックな展開もほとんどない。必要十分なことが全て書いてあるが、書いてあることだけ読む人には物語の面白さは伝わらない。でも、ストーナーの問いに一生かけて答える覚悟が、ぼくにあるかと言えば、多分ない。

そんな傑作です。


11月29日

すいません。あとはもっと旨い書評を読むか、もっと手っ取り早いのは『ストーナー』そのものを読むかして下さい。


11月29日

ひとつ書き忘れ。訳者の東江一紀さんは今年の6月に亡くなっており、この『ストーナー』が遺作。その経緯を、弟子にあたる布施由紀子さんがあとがきとして書かれており、これが本作と木霊してひとつの作品になっているのです。あとがきは最後に必ず読むことをお薦め。


11月29日

そんなに単純な小説じゃない。 RT @yodamina 書評:ストーナー [著]ジョン・ウィリアムズ | http://BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト http://book.asahi.com/reviews/reviewr/2014111600008.html… #bookasa @BOOK_asahi_comさんから


11月29日

もしやろうと思えば、小説内で論じられる小説と文法の関係や、登場人物の内面を描く視点、文学の存在理由、などなど物凄いテクニカルな作品なのよ。ロスの『背信の日々』あたりをも上回るよ。(ロス作品と比較するのは面白そう)


11月29日

なんだか日本語がおかしいのは興奮してるからなのよ。


12月11日

ああ、そう言えば、翻訳小説の初心者向けは何かって話題がありましたな。私は、 『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ(作品社)を強力に推薦。日本語が読めさえすれば、超初心者から小うるさい原理主義者まで、あらゆるレベルの読み方が可能。エモだと思って読まず嫌いは大損だと思います。


12月18日

「言葉をおぼえるしくみ 母語から外国語まで」今井むつみ・針生悦子
「言語における意味 意味論と語用論」アラン・クルーズ
「ナウ・ローディング」詠坂雄二
「駄作」ジェシー・ケラーマン
「ストーナー」ジョン・ウィリアムズ

#2014年の本ベスト約10冊 その二


2015年1月31日

『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ(作品社) ジョン・ウィリアムズがもし『ローマックス』を書いたなら、ローマックスの最期もきっと幸福であったはずだ。 #wtb5


3月1日

『ストーナー』をdisったかに聞こえるトヨザキ社長の「黒ストーナー」発言。あれがぼくも言いたかったことなのよ。ただただ「美しい」「純粋」といった読み方は半分で、敵役の妻や同僚を主人公にジョン・ウィリアムズが書いていればきっと美しく幸福な人生になっていたはずの多層的な作品なのです。


4月13日

著しく支持しましたー! RT @nihonhonyakut また読者の著しい支持を受けた翻訳として「ストーナー」東江一紀訳(作品社)が読者賞に決まりました。https://besttranslationaward.wordpress.com/ #日本翻訳大賞




『ストーナー』ジョン・ウィリアムズ (東江一紀 訳 作品社)