『すごい進化』鈴木紀之 ― 2017-09-03
あ〜、もうやだ。明日、行きたくない
『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』鈴木紀之(中央公論新社)
9月3日
『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』鈴木紀之(中公新書) 読了。
『歌うカタツムリ』が選択(適応)と偶然(制約)のフーガを歌いあげたのに対して、こちらはどこまでも適応で突き進むてんとう虫のサンバ。赤の女王説すら不十分と「無性生殖にオスがいたら」説を紹介し、擬態の
9月3日
不完全さを、天敵は擬態を見破るために青天井のコストをかけない(そんなことにかまけるくらいならもっと確実な餌を狙う)からこそ真似方も「そこそこで十分仮説」をあげるなど、何度も著者が強調するように、全ての生物の不合理に合理的な説明をつけようとするからこそ科学が進むのだと解く。名著。
9月3日
ちなみに著者の鈴木紀之氏は『歌うカタツムリ』の千葉聡氏の研究室にもいたことがあるそうですが、たとえ恩師であろうが弟子筋であろうが、研究方針に違いがあっても絶対に忖度しない形質が進化しているのではなかろうか。そうでなければ生き残れないような適応か、それとも偶然か。
『ゲームの王国』小川哲 ― 2017-09-15
猫は支えがないと崩れてしまうのです
『ゲームの王国』小川哲(早川書房)
9月6日
ツイッターで小説や映画の感想を読むときはだいたい「おまえさん、わかってないなあ」と思っています。
9月6日
なので、わたしの感想もそのように読んでいただきたい。
9月6日
(と書いておけば『ゲームの王国』で恥をかかずにすむだろう。まだ1/4だけどきっとものすごいことになる)
9月6日
ツイッターで小説や映画の感想を読むときはだいたい「おまえさん、わかってないなあ」と思っています。
9月15日
『ゲームの王国』小川哲 読了。クメール・ルージュを背景にカンボジアの片田舎に次々と現れるユーモア目盛を振り切った奇矯な人々。泥、鉄板、輪ゴム…。少女と少年の束の間の出会いが、恐ろしく愉しいこの物語の記憶とルールを改竄せよと容赦なく迫る物語そのものの後半。とメモ帳には書かれていた。
9月6日
そんな作家がおるのであろうか。誤読されたらショックとか言われたらわし黙ります。(まあ、すごく表層的なルールの部分かと思いますが)
9月6日
例えば『ゲームの王国』はわし、酷評してもいいよ。前半の凄まじさが後半でなし崩しになるアンバランスさなんて、藤子Fの描きかけの遺作を、Aが描いたんじゃないかってぐらい。それでも小説自体が前半の書き換えを行っているって誤読して自分を納得させてるんじゃ、わりゃ。好きに誤読させてくれ。。
9月6日
読書感想文: ゲームの王国 - /var/log/kenrou http://kenrou.hatenablog.com/entry/2017/09/03/033516…
大森望の帯文はダブルミーニングで、まあ、ふかしの大森の面目躍如な感じ。たしかにその通りなんだわこれ。
9月25日
上巻のままいけば『百年の孤独』とため張るくらいの傑作だけど。なんでみんな下巻も誉めるのかが分からん。SFにするにしても現代文学にするにしてもエンタメにするにしても道具を揃えて満足した素人のゴルフみたいに見える。
『医師は最善を尽くしているか』アトゥール・ガワンデ ― 2017-09-23
八重洲ブックセンターが好きなゴブさん。
『医師は最善を尽くしているか 医療現場の常識を変えた11のエピソード』アトゥール・ガワンデ(原井 宏明 訳 みすず書房)
9月23日
『医師は最善を尽くしているか 医療現場の常識を変えた11のエピソード』アトゥール・ガワンデ 読了。『死すべき定め』が売れて『コード・ブルー』の新訳版も出るガワンデはポール・オースターのファンでした。締めの五つの教えの一つはオースターのエッセイから「筋書きにない質問をしなさい」。
9月23日
これは患者でも同僚でもよく、教科書以外の質問で、ヘルニアの男性とか麻酔科医の女性とかいう記号から少しでも特異性をもった個人として見ようという努力。
二つ目は「不平を漏らすな」。我慢しろいつも明るくではなく、殆どのことは完全にコントロールできない、不平よりお天気の話の方がましだと。
9月23日
一、ニ、三つ目は「何か数えろ」。これはより具体的。本文エピソードに何度も出てくるのは比較できる数字にしろということ。アプガースコアという新生児の健康状態を10点満点で数えることで今まで常識として助からないと思われていた未熟児などの死亡率が劇的に下がったと。数えろ。これで140字。
9月23日
四つ目は「何か書け」。まあ、ツイッターやってる連中には不要なアドバイス。 五つ目は「変われ」。これはすごいぞ。命を左右する医師に今までとは違う医療をやってみろ、何回成功し何回失敗したか数えろ、と。もちろん実験しろと言っているわけではなく、今の不十分さを認め常に解決策を試せ、と。
9月23日
最新医療よりも大事なことは、医師の倫理や対価、困窮、隠蔽体質など常に制限された現場で、既にある医療の最大パフォーマンスを引き出すには何をすればいいのかという科学だと。そんなことを凄まじく面白い11のエピソードで伝えているのでした。マシュマロ・テストに落ちる子は医者になっちゃだめw
『医師は最善を尽くしているか 医療現場の常識を変えた11のエピソード』アトゥール・ガワンデ(原井 宏明 訳 みすず書房)
『ジュリアス・シーザー』シェイクスピア ― 2017-09-26
お父ちゃんの大好きな匂いにラリってるゴブさん
洗ったばっかりなのに、まだ匂うのだろうか。
『ジュリアス・シーザー』シェイクスピア(小田島 雄志 訳 白水社)
9月26日
『ジュリアス・シーザー』シェイクスピア 読了。休刊になったら一斉に「おまえもか、ブルータス!」とツイートされるであろう雑誌とはたぶん関係ないブルータスのどこが高潔なのかさっぱり分からないが、キャシアスとのガキの喧嘩の迫力とアントニーの演説の畳み掛ける弁論術が物凄いので☆五つです。
『お気に召すまま』シェイクスピア ― 2017-09-27
あたらしいベッドになれたようです/font>
『お気に召すまま』シェイクスピア(小田島 雄志 訳 白水社)
9月27日
『お気に召すまま』シェイクスピア 読了。森を舞台にした脳天気な祝祭演劇ってことで『夏の夜の夢』の亜流。パックの代わりがロザリンドで韃靼人の矢よりも速くはないけれど宝塚の男役ならみんなやりたがるであろう美しき腐女子の世界。道化の知的な戯れや変装した恋の鞘あてなどシェイクスピア三昧。
『十二夜』シェイクスピア ― 2017-09-28
ずっとこの姿勢なんだが
『十二夜』シェイクスピア(小田島 雄志 訳 白水社)
9月28日
『十二夜』シェイクスピア 読了。道化がでて女が男のふりをして取り違えて言葉遊びで恋遊びをしているうちにみんな幸せになりました。この辺になるとセルフパロディじゃん、と思っていたら、解説の村上淑郎先生も遠回しに「原典はシェイクスピア自身」などと仰っておられました。
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